HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報617号(2020年4月 1日)

教養学部報

第617号 外部公開

<施設・組織紹介> 駒場図書館

石田 淳

https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/komaba

授業期間の駒場キャンパスでは、学生の動きは授業時間帯に見事に制御され、授業終了とともに一斉に学生がそれぞれの次の目的地へと移動します。この人の流れが交差する地点が、キャンパスを東西に貫く銀杏並木の東端にあるコミュニケーション・プラザです。図書館は、生協の食堂、購買部、書籍部の建物とともに、この中庭を取り囲む形で建っています。
東京大学が誇る附属図書館には、本郷・駒場・柏の各キャンパスの拠点図書館(それぞれ総合図書館、駒場図書館、柏図書館)と、部局図書館との二類型があり、コミュニケーション・プラザに建つ図書館とは、厳密には、拠点図書館たる駒場図書館と、部局図書館たる大学院総合文化研究科図書館の複合体になっています。前者の駒場図書館は、「東京大学駒場図書館規則」によれば、学部前期課程学生の教育・学習支援をその主たる任務とするものです。これに対して後者の部局図書館は、部局固有の、すなわち教養学部後期課程三学科と大学院総合文化研究科の学術活動の支援を行うものです。駒場第Ⅰキャンパスにおける部局図書館には、この総合文化研究科図書館のほかに、自然科学図書室(十六号館)、アメリカ太平洋研究センター図書室(十四号館)、数理科学研究科図書室(数理科学研究棟)もあります。さらに駒場キャンパスにはこれ以外に二十以上の研究室図書室もあるのですが、それらについては教養学部ウェッブサイトの駒場図書館「利用案内」で確認してください。
今号の『教養学部報』は新入生歓迎号ですから、ここでは学部前期課程の学生にとっての駒場図書館という観点から、施設の紹介を簡潔に行いたいと思います。
まずは、前述の駒場図書館「利用案内」をご覧ください。図書館はいつ開いているのか(「開館カレンダー」)、どこに何があるのか(「フロアマップ」)、どのような設備があるのか(「館内施設利用案内」)、資料はどのように検索すればよいのか、資料をどのように利用できるのか、どうすれば学内外から資料を取り寄せられるのか(国会図書館のデジタル化資料送信サービスを含む)等々、標準的な疑問はこれでほぼすべて解消するはずです。とは言え、実体験なしにマニュアルを精読するほどの苦役はありませんから、ざっと目を通したら、実際に図書館を探訪してください。
図書館を訪れると言っても、それはコミュニケーション・プラザにある建物への入館に限られるものではありません。日常的にはそれ以上に頻繁に、東京大学の誇る各種データベースを前期課程のうちから活用できるだけ活用してもらいたいと思います。
また、一年生には、前期課程の初年次Sセメスター配置の必修科目たる基礎科目「初年次ゼミナール」と連携して開催される図書館ツアー・セミナーや初年次ゼミ文科共通授業の検索実習を受講する機会もあるでしょう。
冒頭で、駒場キャンパスにおいて人の流れがコミュニケーション・プラザで交差すると述べましたが、実際に駒場図書館の入館者数は、Sセメスターの試験が行われる七月にはのべ九万人にも上ります(二〇一八年度実績)。本学の進学選択制度が否が応でも試験勉強を促している面は否定できないでしょうが、図書館なればこそ本学独特の知の熱気を体感できるでしょう。
大学では全学的な検討を経て二〇一五年度から総合的教育改革が実施されています。前期課程教育についても、学事暦・カリキュラムの改革から、教員スタッフの確保、教室の整備までは進みましたが、それでもまだ施設の整備は改革の理念に追いついていないのではないかとの声も聞こえてきます。一例を挙げれば、現在の駒場図書館にも「グループ学習室」はありますが、前期課程の少人数授業が求める授業時間外グループ学習の需要には十分に対応できているとは思われません。是非とも全学の理解と支援を得て、図書館施設が持つ学習支援機能をいっそう強化したいと考えています。

(駒場図書館長/国際社会科学/国際関係)

第617号一覧へ戻る  教養学部報TOPへ戻る

無断での転載、転用、複写を禁じます。

総合情報