HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報618号(2020年5月 8日)

教養学部報

第618号 外部公開

〈後期課程案内〉 教養学部 統合自然科学科

学科長 道上達男

自然科学を深く「広く」学ぶ
http://www.integrated.c.u-tokyo.ac.jp/

一年生のみなさんは、大学の生活に少しは慣れてきた頃でしょうか。二年生のみなさんはまさに志望学部・学科を決める時期にさしかかっていると思います。東大にはありとあらゆる分野に対する学部学科が用意されているので、どこに進学するべきか迷っている人もいるでしょうし、そもそも自分の興味は何なのか、完全には固まっていない人も少なからずいると思います。そんな人にお勧めなのが私たちの学科かもしれません。自然科学を探究する上では、一点を深掘りするやり方もあるでしょうし、対象を多角的に捉えるやり方もあります。特に昨今は境界領域・複合領域とよばれる研究分野が増え、さまざまな観点や手法が求められる局面が増えています。では、このような観点や手法を身に付けるためにはどのような勉強をすればいいのでしょうか。もちろん、みなさんが主体的に複数分野の学びを深めればいいのですが、意識して取り組まないと実はかなり難しかったりします。私たちの学科のカリキュラムは複数の自然科学分野の履修を前提として設計されているため、多角的アプローチのマインドをストレスなく獲得することができます。
それでは、各コースの特色をごく簡単に紹介します。
⑴ 数理自然科学コースは数学を勉強するコースだと思われがちです。もちろんいわゆる「数学」を学ぶ側面もありますが、それと同時に、数理的アプローチを駆使しながら自然科学そのものの理解を深めていく学びという特徴があります。具体的には、解析、力学系、確率論などの数学分野の科目に加え、物理、化学、生物などの自然科学に関しても各人の嗜好に応じて様々な科目を履修できるようになっています。さらに、少人数セミナーも用意され、研究へと展開できる道筋もつけられています。
⑵ 物質自然科学コースでは、原子から生体にいたる様々な階層における物理学・化学を深く広く学ぶことができます。従来の物性物理学、原子核物理学、素粒子物理学、物理化学、有機化学、無機化学などの分野を全てカバーする充実した教育プログラムが用意されているだけではなく、やはり境界領域、領域横断的なところに位置する新しい科目を加え、学生の選択の幅を広げてあります。
⑶ 統合生命科学コースでは、生命の様々な階層における秩序、構造、機能、法則性とそれらを統合する生命システムの成り立ちを把握し、生命科学のフロンティアを開拓することのできる人材育成を目指しています。科目も、生化学、分子生物学、生物物理学だけでなく、発生・細胞生物学、生態学、脳・神経科学、複雑系生物学、構成的生物学といった多彩な分野についての知識、実験手法が一網打尽に学べます。流行に捉われない独創性の高い基礎研究が行われている点も本コースのアピールポイントです。
⑷ 認知行動科学コースでは、元来文系学部で行われてきた心理学の諸問題を理系的アプローチで解明するという、世界でもまだ珍しい二十一世紀型の学びの場を提供しています。本コースは文科・理科生が半々なので、予備知識の多少によらず心の実証研究の本質が自然にわかるような授業展開がなされ、現代社会に対する視点と実証科学マインドとのバランスがとれた学際性豊かな知識を得ることができます。
⑸ スポーツ科学サブコースは、東京大学の中で唯一、スポーツと身体運動および健康に関わる教育と研究を行うコースです。様々な身体運動を総合的な観点から探究し、運動の成り立ちおよび身体の可塑性について学びます。更に、応用科学であるスポーツ科学を通じて、スポーツパフォーマンスの向上、身体のサステナビリティ確保などを総合的に考える能力が養えます。
私たちの学科では、科目選択の自由度が高く、他コースやサブプログラム、文科の科目も柔軟に取得でき、所定の単位をとることで「副専攻」が認定されます。さらに、研究室数が所属学生に比べて多く、広い選択肢があり、なにより教員による手厚い教育サポートをうけることができるのも当学科の強みといえます。卒業生は大学院への進学者が多く、最終的には大学教員や公的機関の研究者、官公庁の専門職をはじめ、製造・金融・商社・コンサルタント・情報通信・製薬・マスコミ・出版などさまざまなる企業に就職し、活躍しています。
以上、統合自然科学科について紹介しました。なにより、当学科所属の教員は全員駒場キャンパスにいます。今では駒場で恒例の、昼休みに開かれるランチョンセミナーもありますので、私たちの学科に興味をもった方は遠慮なく話を聞き、研究室を訪ね、私たちの学科の面白さと強みを実感して下さい。

(統合自然科学科長/生命環境科学/生物)

第618号一覧へ戻る  教養学部報TOPへ戻る

無断での転載、転用、複写を禁じます。

総合情報