HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報618号(2020年5月 8日)

教養学部報

第618号 外部公開

〈後期課程案内〉 医学部

医学系研究科長・医学部長 齊藤延人

医学部のご紹介
http://www.m.u-tokyo.ac.jp

医学部について
東京大学医学部の教育目的・理念は、「生命科学・医学・医療の分野の発展に寄与し、国際的指導者になる人材を育成することにある。すなわち、これらの分野における問題の的確な把握と解決のために創造的研究を遂行し、臨床においては、その成果に基づいた全人的医療を実践しうる能力の涵養を目指す。」としています。その起源を一八五八年の神田お玉が池種痘所の設立に遡り、約一六〇年の歴史があります。これまで永きにわたり優秀な人材を多数輩出し、日本の医学・医療の発展に貢献し、近代医学教育を支えてきた歴史と伝統があります。
医学部には医学科と健康総合科学科があります。「医学科」は定員一一〇名で、人体の仕組みや病気の発症機序を学び、医師免許を取得することを目指します。「健康総合科学科」は定員四十四名で、病気の予防や、社会、環境との関係で疾患を考え、介護や健康の科学を創造することを学びます。場所は本郷キャンパスにあり、赤門から入って正面が医学部本館(二号館)で、その周囲に教育研究棟、医学図書館、医学部一〜五号館などがあります。龍岡門から続くバス通りをはさんで東側には医学部附属病院があります。
医学科について
医学科は、人体の仕組みや病気の発症機序を学び、医師免許を取得することを目指します。進学後の学年は、M1、M2、M3、M4と呼びます。授業は、大きく「基礎医学、「臨床医学」、「社会医学」に分類されます。生化学など一部の授業は既に教養学部の二年生(M0)で始まっていますが、本郷では、解剖学をはじめとした基礎医学や社会医学を学びます。病気を理解する上での基礎となる学問であるばかりでなく、将来研究者の道を目指す者にとっては、基礎医学やライフサイエンスへの興味を育む貴重な機会です。また、リサーチマインドを持った学生の育成のために、Ph.D.-M.D.コース、MD研究者育成プログラム、臨床研究者育成プログラムなども用意しています。
M2から臨床系の講義と実習が始まります。最近の医学教育では、参加型の臨床実習が重要視されており、クリニカルクラークシップ(CC)と呼ばれています。この診療参加型臨床実習を開始するためには、知識と問題解決能力を問う全国共通の共用試験(CBT)と、診療の態度と技能を評価する試験「OSCE」に合格する必要があります。これらの試験に合格するとStudent doctor認定証が授与され、患者さんの前に出ることができるようになります。CCはM3からM4まで続き、各診療科を二〜三週間ずつ経験し十分な臨床実習を行うようになっています。
健康総合科学科について
健康総合科学とは、ひとびとの生活にとって重要な構成要素である健康を軸に置き、人が生まれ、生活し、一生を終える一連のプロセスにおいて、幸福(ウェルビーイング)向上を実現するための科学です。人間の個別性・多様性、社会背景・社会規範などへ配慮し、さらに社会へ貢献することを目的としています。この目的に到達するために、ひとびとの健康を支える理論と実践を志向し、自然科学・人文社会科学・そして実践科学の体系的統合を実現する必要があります。そのため、分子・細胞・臓器レベルでの人間の生物学を学ぶ「環境生命科学」、社会格差や医療倫理など、社会との関係の中で健康課題を分析して疾病予防や健康増進につなげる「公共健康科学」、健康の増進・維持・回復を支援する看護援助を科学し実践する「看護科学」の三専修を設け、専修間の相互連携も図っています。
健康総合科学科への進学は理科二類が中心ですが、理科一類や文系など全科類枠を含め受け入れています。学部教育を担当する講座は十四 あり、カリキュラムとしては、教養学部二年後期(A1期)から共通科目を中心に開講され、進学後の三年次A1期から原則として希望専修の科目を履修することになります。看護科学専修の卒業者は看護師の国家試験受験資格が得られます。
健康総合科学科の卒業生は約半数が大学院(公共健康医学専攻、国際保健学専攻、健康科学・看護学専攻)へ進学します。大学院進学者以外では、健康科学の知識を活かして保険会社、製薬企業、コンピュータ関連企業、外資系企業などへ就職します。看護学専修の卒業生は、医療施設やなどで看護師の資格を持って活躍しています。

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医学部本館

(医学部長/脳神経医学)

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