HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報623号

最終更新日:2021.02.03

教養学部報

第623号 外部公開

初めてのオンライン・オープンキャンパス2020

鶴見太郎

毎年七月に行うオープンキャンパスは今年は中止となったが、代わりに九月二十一日・二十二日にオンラインで開催された。教養学部は、二十二日に公開された全学の枠での村田滋副学部長による教養学部紹介(こちらは録画)を除くと、二十一日のみの参加となった。本学部の基本的な参加形態としては、太田邦史学部長による挨拶や時弘哲治数理科学研究科長による研究科紹介、各学科紹介、模擬講義については事前収録したものを一週間前からYou Tubeの教養学部チャンネル(今回新設)で配信し、当日は三学科質問コーナーと各模擬講義に対する質疑応答、および以下の特別企画のみをライブで行うというオンデマンドとリアルタイム配信のハイブリッド方式とした。なお、全学で一月にオンデマンド配信が再度予定されており、教養学部でも上記オンデマンド部分のみ再配信する。
上記メニューは毎年のものに準じ、以前からの流れで、本部グローバリゼーションオフィスの国際研修・留学プログラムの紹介もタイムテーブルとしては今年も教養学部の枠に入った。これに加えて、今年は特別企画として「文系女子について語ろう─女子中高生とのオンライン交流会」と題した座談会も教養学部の枠で設けられ、斎藤文子副学部長の音頭のもと、本学部の四本裕子先生(本学文学部出身)ほか本学卒業生や現役教養学部女子学生を交えてリアルタイムで議論が花開いた。筆者は同時間帯の三学科質問コーナーに張り付いていたために参加できず残念だったが、女子中高生を東大入学に向けて動機づけるよい機会になったと伺っている。
模擬講義は教養学科から村松真理子先生が「疫病と文学―『デカメロン』を(少し)読んでみよう」、統合自然科学科から澤井哲先生が「アリストテレスがあっていて、ニュートンは間違っていた?細胞の生物物理学序論」、学際科学科からは大泉匡史先生が「意識の謎は数理で解き明かせるか?」、PEAKからは甘蔗寂樹先生が"Do you understand energy and materials? - To Develop a sustainable society"と題してそれぞれ三十分程度、事前収録で行った(各自Zoomなどパソコンの録画機能を使って記録)。
学科紹介は、教養・統合自然・学際・PEAKそれぞれ西川杉子・道上達男・福永アレックス・ジョナサン ウッドワード各先生が担当されたほか、教養学科では現役生が三分科からそれぞれ一名ずつ参加し、ビデオメッセージを寄せてくれた。
模擬講義や学科紹介はそれぞれ主にZoomの録画機能を使ってなされたが、一部、ビデオカメラでの収録も行った。カメラがちょっとした趣味である筆者も一部収録のお手伝いをした(動画撮影はめったに行わないので不慣れな部分もあったが、初めての試みということで手作り感があってもよいだろうと都合よく考えた)。
蓋を開けてみると、参加者数は予想外に少なかった。実は、オンラインで気軽に参加できるので、それなりに多くなるのではないかと逆の予測をしていたのである。本学全体としても、単純比較はできないが、登録者数でいえば昨年の四分の一ほどにとどまった。他大学でも同様の傾向だという。高校の夏休みではない九月に時期がずれ込んだことに加え、実際にキャンパスを見られるわけではない(その意味ではクローズド・キャンパスである)ために、高校生としての楽しみが半減してしまっていたことが原因として考えられるだろう。三学科紹介の動画再生回数は三〇〇に迫り、模擬講義も一〇〇~一五〇回程度だったから、(一人一回と考えれば)例年に比べて大きく劣るわけではないが、当日のリアルタイム参加者は女子中高生企画こそ一〇〇名を超えたが、三時間出入り自由だったとはいえ三学科質問コーナーの瞬間最大数は五〇足らずで、模擬講義への質疑にいたってはいずれも五名前後にとどまった。
Zoomウェビナーで行ったライブでは、参加者からのマイクによる発言を想定していたが、筆者が参加したものについてはいずれの回でもそれはなく、すべて質問機能を使った文字での質問だった。高校生にとっては、いきなり本学の教員と、他の人も聞いているなかで一対一で話すのはハードルが高いようだ。
もっとも、特に三学科質問コーナーでは、一度質問が出だすと次々に質問が集まりはじめ、三時間絶え間なく登壇者の誰かが質問に答える状態が続き、中身としては非常に濃いものとなった(時間切れで答えられなかったものについては、登壇者で手分けをして文字で回答した)。本コーナーでは、各学科長(教養学科は分科長も)と各学科からの学生計六名が登壇し、筆者の司会のもとで、質問内容に応じて適任と思われる登壇者に振っていく形で進行していった。
高校生からは、自分がやりたい勉強が教養学部でできるかどうか、他分野の勉強もできるのかどうかなどといった入学後の学生もするような質問から、受験勉強に関する質問、進学選択のメリット・デメリットについての質問、さらには「真の教養とは何か」という質問まで多岐にわたる質問が出され、実のところ、筆者含め本学からの登壇者が一番楽しんだのではないかと思う。
そのほか、教養学科に進学するには文科何類に入るのが有利かといった種類の質問が何度か出された。登壇者の話を総合すると、特にこれといった有利不利はなく、自分に合った科類で学ぶのが結果的にはよい成績も取りやすく、最も有利になるという結論が出された。進学選択のメリット・デメリットについて、学生自身がどう考えているかは実は筆者自身よくわかっていないところでもあり、初めて顔を合わせる理系を含む登壇学生にいろいろと聞く機会を持てたのは貴重だった。
筆者自身は、先学期の定期試験で、進学選択を前に学生が神経質になっている様子を見るにつけ、そのデメリットについても案じていたが、学生によると、現在の新アルゴリズムでは希望が反映されやすいこともあり、仮に第一志望にはならなくても、第二志望以下でもそれほど悪いものではないという感覚を持っているようだった。
模擬講義の質疑応答においても、各先生がどのような経緯で現在の研究に到達されたかといったことをはじめ、ざっくばらんに様々なことを伺うことができた。その意味で、少なくとも筆者にとってはキャンパスの重要な部分がオープンになった機会だったが、果たして参加した高校生にとってはどうだっただろうか。

(前学部長補佐/地域文化研究/国際関係)

第623号一覧へ戻る  教養学部報TOPへ戻る

無断での転載、転用、複写を禁じます。

教養学部報