HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報628号(2021年6月 1日)

教養学部報

第628号 外部公開

<時に沿って> 京都から駒場へ

諏訪雄大

 二〇二一年四月に総合文化研究科広域システム科学系宇宙地球部会の准教授に着任しました諏訪雄大です。
 研究対象は星です。夜空で輝くあの星々です。古来より長きにわたり観察されていて、こんなに色々なことがわかっているのに、まだ研究することなんてあるの?と思われるかもしれません。そんな考えに反して、星について我々が理解できていないことはたくさんあるのです。太陽が核融合によってエネルギーをつくり光っているという、いまとなっては小学生でも知っているようなことが解明されたことですら、わずか百年ほど前のことです。そんな星について最も大きな謎は、その死です。実は悠久の時を光り続けるように思える星にも寿命があります。一部の星(太陽の約十倍よりも質量の大きな星)は、その一生の最期にとても激しい爆発を起こすことが知られています。こうした爆発を超新星爆発と呼びます。この超新星爆発がどのように引き起こされているのか、現代科学を総動員してもまだ解き明かすことができていません。宇宙物理学における最大の謎の一つと言われています。私はスーパーコンピューターを用いた数値シミュレーションを駆使して、この大問題に挑戦しています。この十年ほどは世界中で研究が活性化しており、日進月歩で理解が進んでいる非常にアクティブな研究分野です。興味があるかた、ぜひお話ししましょう。
 さて、次に駒場に来る前のことを少しだけ。二〇一〇年に本学の大学院理学系研究科で学位を取得後、京都に移りました。間に二年間のミュンヘン生活を挟み、最終的に九年のあいだ京都に住みました。最初は三年の任期付き研究員という身分だったので短い間でも京都に住めるなんてラッキーだな、と半分観光客のような気持ちで移り住みましたが、たくさんの方にお世話になり様々なご縁があり長く滞在することができました。京都は街がコンパクトで自転車があればどこでも行け、山や川が近くにある自然豊かな土地でとても住みやすい町だったので離れるときは一抹の寂しさを覚えましたが、さらに別のありがたいご縁があり、この四月に東京に戻ってきました。学生時代のように大学までの移動の電車内での読書の習慣が復活したのは、東京に戻ってよかった点です。長く離れていたため、地下鉄の接続も大きく変化し、(RPGのダンジョンとも形容される)ターミナル駅の構造も劇的に変わっていてよく迷ったりしますが、再び観光客気分で東京を楽しもうと思います。学生時代に駒場キャンパスに通っていたのは二年間だけだったので、キャンパス内もまだまだ知らないところが多く探検しがいがありそうです。
 これから、どれくらいの期間をここで過ごすかも全く未知数ですが、駒場の皆さんと楽しく日々を送ることができるとよいなと期待しています。

(広域システム科学/宇宙地球)

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