HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報631号(2021年11月 1日)

教養学部報

第631号 外部公開

オンライン・オープンキャンパス2021

湯川 拓

 東京大学のオープンキャンパスが七月十日・十一日に開催され、教養学部は前年同様、オンデマンドとリアルタイム配信のハイブリッド方式で一日目に参加することとなった。オンデマンドとしては、森山工学部長による挨拶や時弘哲治数理科学研究科長による研究科紹介、各学科紹介、PEAK模擬講義、キャンパス紹介動画を事前に収録し、一週間前から配信した。学科紹介については、教養・統合自然・学際・PEAKそれぞれ竹野太三・國場敦夫・小宮剛・ジョナサン・ウッドワード各先生が担当されたほか、現役生もビデオメッセージを寄せてくれた。ライブ配信としては、当日に三学科質問コーナー・PEAK質問コーナーと模擬講義、およびそれに対する質疑応答をZoomを通して行った。
 去年を踏まえての今年からの変更点としては、第一に、幾ばくかでもキャンパスの雰囲気を伝えられればという趣旨から、キャンパス紹介動画を配信した。第二に、去年はオンデマンド配信であった模擬講義を、今年はライブで行うことにした。質疑応答と併せてライブで行うことで参加者の増加につながればというねらいである。
 さて、肝心の参加具合であるが、まずオンデマンド動画の視聴については動画によって多少の差はあるものの、全ての企画で去年以上の視聴数が得られた(最も多かった企画で九二六回)。これはリンクの掲載箇所など導線について工夫したことの結果かと思われる。
 次に、十日のライブ配信である。午前中に三時間という長丁場で行われた三学科質問コーナーでは、今年はこちらも三学科から教員七名、現役学生九名という大規模な体制で臨んだ。結果、約一二〇名の参加人数を得るとともに、切れ目なく質問が寄せられた。特に多かったのが他学部との違いである。例えば、生物学を学ぶに際し、後期教養学部と理学部では何が違うのか。これに対し学生と教員はそれぞれの目線から真摯に返答し、司会をしつつ私も大変興味深く耳を傾けることとなった。その後行われたPEAK質問コーナーでも教員四名並びにアドミッション・オフィスのスタッフが参加し、約三〇名の参加があった。
 十五時より行われた模擬講義では、教養学科からは田辺明生先生が「人間性の基盤としての多様性―文化人類学の視点から」、郷原佳以先生が「言葉の袋小路、フィクションの始まり」、統合自然科学科からは道上達男先生が「生物の体はどのように作られる?―発生生物学の基礎と応用」と題してそれぞれ三十分程度の講義を行い、その後十五分程度の質疑応答を行った。講義はいずれも学問あるいは研究の面白さを伝える本格的なものであるとともに、参加者もそれに十分に応えて質の高い質問を数多く寄せてくれた。
 総じて、もちろん不都合はあるものの、質問コーナーにせよ模擬講義にせよ、質問が質問を呼んでここまで活発なやり取りが為されたのはオンライン開催ならではの利点もあったように思う。ご協力いただいた学生と先生方、そして実質的な運営主体であると共に単なる年中行事と捉えずに少しでも質の高いものを目指して創意工夫を重ねられた広報・情報企画チームに御礼を申し上げます。

(前学部長補佐/国際社会科学/国際関係)

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