HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報635号(2022年4月 1日)

教養学部報

第635号 外部公開

<施設・組織紹介> アメリカ太平洋地域研究センター

橋川健竜

http://www.cpas.c.u-tokyo.ac.jp/

 新入生のみなさん、入学おめでとうございます。駒場キャンパスの研究教育施設を活用して、たくさんの学習・研究体験をしてほしいと期待しています。それを支援する組織の一つとして、アメリカ太平洋地域研究センターを紹介しましょう。駒場Ⅰキャンパスの中央を走る銀杏並木の西端近く、14号館に接続する二階建ての建物にそのセンターはあります。
 このセンターは、北米とオセアニア地域に焦点をあてて、アメリカ太平洋地域の歴史、政治、経済、文化を研究する専門組織です。アメリカ合衆国に関する国立大学唯一の研究機関として一九六七年に設立され、創立以来今年で五十五年目を迎えます。近年では中南米やアジア太平洋諸地域との関係も意識し、合衆国が現代世界に占める意味を多角的にとらえる研究を、数多く展開しています。
 センターでは毎年、公開シンポジウムを開催しています。アメリカ大統領選挙の前には、アメリカの国内外の社会情勢について、背景と現状を複数の角度から検討することが多いです。また昨年度は、日本で最初の専門的アメリカ研究者である高木八尺(やさか)・本学法学部教授を取り上げ、日本でアメリカを研究するとはどういうことかを議論しました。オンラインで開催したこともあり、専門の研究者に限らず、学外一般を含め、多くの方々の参加をいただきました。
 そうした大規模で総合的な企画に加えて、新入生のみなさんには、定期的に開催されているセンターの公開セミナーに参加し、大学における研究の最前線を味わってみることをお勧めします。センターでは国内外の一流の講師を招き、学術の世界での最新の話題を自由に語ってもらっています。米・欧・豪・亜の各地の研究者が、地域文化研究や比較文学、国際関係論等を学ぶ学生や教員と議論を重ねています。コロナウイルス感染拡大の影響はあるものの、今年度はこれらの交流活動をできる範囲で拡大したいと考えています。英語でのセミナーがほとんどですが、臆することはありません。講師の話に耳を傾け、自分の疑問を率直に伝えていくうちに、やがて英語で学術的なやりとりができるようになります。学部新入生のみなさんも挑戦してみてください。
 アメリカ太平洋地域に関する文献を収集し、全国の研究者や学生に広く公開することも、本センターの重要な活動です。センター図書室では七万冊を超える文献を所蔵しており、最新の研究書から、明治、大正期に刊行されたアメリカ関係図書など、国内外の他の図書館ではなかなか見つけることのできない文献も含め、研究の手掛かりになる書籍や資料を数多くそろえています。駒場キャンパスのみなさんは、学生証を提示すれば誰でも自由にこのセンター図書室を利用でき、書籍を閲覧して借り出すことができます。もちろんWi-Fiも使えます。ぜひ活用してください。なお、コロナウイルスの感染拡大を受け、大学の方針にそって、開館日や時間などが年度の途中で変更になる可能性があります。詳しくはセンターのホームページを見てください。
 現在センターは、第二次世界大戦以前から合衆国と向き合ってきた研究者や政府関係者の日誌と書簡など、寄贈をいただいた一次資料を整理・公開する作業を進めています。また、南太平洋島嶼諸国やオーストラリアを含むオセアニア地域に関する図書資料を、積極的に増やしています。中国、韓国、日本からの留学生が数多く学ぶようになったオセアニア地域は、多文化共生の実験の場とも言われます。それを含めたアメリカ太平洋地域の研究をさらに活発化させていきたいと考えています。来たれアメリカ太平洋地域研究センターへ!

(グローバル地域研究機構/英語)

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