HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報635号(2022年4月 1日)

教養学部報

第635号 外部公開

辞典案内 2022 モンゴル語

荒井幸康

日本ではモンゴル語の需要が少なく、モンゴルでは日本語の受容が非常に多いため、モンゴルで二言語間の辞書出版は盛んである。特に、日本語、英語とモンゴル語の辞書について比較的容易に取得できるもの、あるいは大学や社会で使うにあたり参照可能なものを上げておく。なお、モンゴル語は、ロシア語と同じキリル文字とモンゴル独自のモンゴル文字の二つで表記されるが、ここではキリル文字に限定し、紹介することにしたい。

【日本語・モンゴル語】
1.『現代モンゴル語辞典(改訂増補版)』(小沢重男編著,大学書林,1994年,959頁,30,000円+税)
大きいが持ち運んで使う辞書としてはこれになる。語彙も多く、キリル文字の綴りからモンゴル文字を調べることもできる。高いがそれなりに読めるようになるには必須の一冊。ただし、モンゴル語に限らず、外国語-日本語の辞書関係一般に言えることなのだが、「閣僚会議」と訳すべきなのに「大臣たちの会議」となっていたりするので、適訳は想像を働かせて補わなければならないかもしれない。
2.モンゴル諸語と満洲文語の資料検索システム(http://hkuri.cneas.tohoku.ac.jp/
モンゴル語のみならず、モンゴル系の諸言語の辞書をコーパス化し、検索できるようにしたサイト。モンゴル語から日本語(http://hkuri.cneas.tohoku.ac.jp/p02/cyrillic/list?groupId=39)、日本語からモンゴル語(http://hkuri.cneas.tohoku.ac.jp/p02/japanese/list?groupId=43)への両方の検索が可能。
モンゴルで出版されている辞書は
3.『日本モンゴル、モンゴル日本小型辞典 第二版』(G. ボヤンジャルガル編著 ウラーンバートル、2016年、918頁)
4.『和蒙-蒙和辞典』(ドルジスレンギーン・ボルドバートル著、ウランバートル、2014、370頁)
携帯できる日モ、モ日辞書。入門者用のポケット辞書としておススメ。値段も日本円にすると2000円しないぐらい。あくまで個人の意見だが、語彙数は前者、適訳は後者に軍配が上がる。
5.『蒙和辞書』(D.ボルドバードル著、ウランバートル、2010年、939頁)
6.『和蒙辞典』(D.ボルドバートル著、ウランバートル、2012年、1208頁)
7.『日本語―モンゴル語辞典』(荒井伸一、B.セルジャブ著、ウランバートル、2009年、759頁)
大体3000~5000円相当になると思う。この他にもモンゴルでは多種多様な日モ-モ日辞書が出ているので、現地に行くことがあればぜひ吟味して購入していただきたい。

【英語-モンゴル語】
8."Mongolian English Dictionary" Charles Bawden, Keagan Paul International (London/New York), 1997, 595頁)
初級から上級のあらゆるレベルに対応できる辞書。モンゴル語の熟語がかなり網羅されている。
9.Bolor Toli (http://www.bolor-toli.com/
完全無料。モ英、英モどちらもひくことができる。語彙数も非常に多く、たいていのことばが見つかる。熟語も多く載せられている。同サイトでは日本語などのバージョンも建設中だがまだ十分とはいえない。
その他
モンゴル語もグーグル翻訳できるようだが、まだまだ正確ではないようなのでお勧めしない。携帯のアプリとしていくつかの辞書が売り出されているが、レヴューなどをみると、操作性が悪いのか、評価が低いようである。

(モンゴル語)

※辞書の価格について、特に注意書きのないものは税抜きとなります。

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