HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報637号(2022年6月 1日)

教養学部報

第637号 外部公開

<時に沿って> 学生時代を振り返って

高田 了

 二〇二二年四月一日付で大学院数理科学研究科に准教授として着任致しました。出身は秋田県です。高校卒業後は東北大学に入学し、同大学大学院で博士課程を修了しました。その後、東北大学、京都大学、ドイツのボン大学でポスドクを務め、助教として東北大学に四年間、准教授として九州大学に五年間勤務し、現在に至ります。専門は解析学における偏微分方程式論であり、特に流体力学に現れる非線形偏微分方程式の数学解析に興味を持って研究をしています。
 「時に沿って」ということですので、自分の学部生、大学院生の頃を振り返って書いてみたいと思います。少しでも皆様のご参考になれば幸いです。昔からエレキギターが趣味なこともあり、大学では軽音サークルに所属しました。サークルの友人と、学祭の野外ステージで演奏したことや夏フェスに行ったことなどが良い思い出です。学部一年時の勉強時間は決して長いほうではなかったです。二年生後期になり、数学科の専門科目が本格的に始まってから、どんどん大学数学の勉強が楽しくなり、勉強時間は自然に増えていったように思います。数学科の同級生にもとても恵まれ、大学での昼休みや講義後はもちろん、週末も誰かの家に集まって一緒に勉強し議論に付き合ってもらいました。私はその時間がとても楽しく、「数学科に入って良かったなあ」と強く感じた記憶があります。同級生との議論の時間が、数学の理解をより深めてくれたと思います。
 大学院生の頃の思い出としては、ドイツに二ヶ月間の短期留学をしたことを挙げたいと思います。博士課程二年時に、日独共同大学院プログラムという事業に参加させて頂き、ドイツのダルムシュタット工科大学に、五月中旬から七月中旬の二ヶ月間短期留学させて頂きました。それまでの海外経験は韓国訪問一回のみの私にとって留学前は不安しかありませんでしたが、同じプログラムで同時期に留学した日本人の先輩方やドイツの先生方・学生方に支えられ、楽しい二ヶ月を過ごすことが出来ました。それまで苦手意識のあった海外訪問への抵抗感が無くなるとても良い経験でした。特に、そのときお世話になったドイツの先生方からは、その後も現在に至るまで多くの国際研究集会での講演の機会を頂くことになりました。ポスドク期の二〇一三年二月にドイツの Ober­wolfach数学研究所で講演させて頂いた際には、参加されていた研究者の方々から多くのご意見を賜り、その後の共同研究や現在の研究に繋がっています。その際に講演した内容も、京都大学でのポスドク時に知り合った韓国の先生との共同研究の内容で、現在でも研究の一つの軸になっております。
 同級生や研究者との多くの出会いや縁に恵まれて、またそのような機会を与えて下さった先生方のおかげで、現在の研究が続いていると思います。私も教員として、学生の皆様にとって良い研究・交流の機会を作るお手伝いが出来るよう、教育および研究に励みたく存じます。

(数理科学研究科)

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