HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報640号(2022年11月 1日)

教養学部報

第640号 外部公開

オープンキャンパス報告

遠藤智子

 八月三日・四日の二日間にわたり、「高校生のための東京大学オープンキャンパス2022」がオンラインで開催された。教養学部からは、各日ともにライブでの質疑応答や模擬講義があったほか、学部長挨拶やキャンパス紹介および研究紹介等のオンデマンドで視聴できる動画も多数用意された。質疑応答・模擬講義は最大で同時に一六〇名強の参加があり、視聴回数が五〇〇〇回を超えたオンデマンド動画もある等、多くの参加者からのアクセスがあった。
 一日目に行われた教養学部後期課程の三学科に関するQ&Aでは、教養学科・統合自然科学科・学際科学科から教員と学生が登壇し、各コースに関する質問に回答した。二日目はPEAKのQ&A企画があり、PEAKの教員による紹介ビデオの再生の後、ライブでの質疑応答が行われた。その後には教養学部のダイバーシティ問題に関する取り組みを紹介する時間があり、駒場セイファー・スペースを主導されている清水晶子教授と関連する学生、および理系・文系の学部長補佐が登壇し、参加者からの質問に回答した。
 特別講義は一日目には統合自然科学科の堀田知佐教授による「Fictitiousな波の噺~物質の物理学」と教養学科の岡田泰平教授による「グローバル・サウスの研究を楽しむ ─フィリピン近現代史研究の立場から─」、二日目には教養学科の國分功一郎教授による「『意識』は十七世紀の発明である─スピノザ哲学における『良心』の問題」、学際科学科の横山ゆりか教授による「人の心理・行動から都市と建築を考える」と、非常にバラエティに富むラインナップとなった。ZoomウェビナーのQ&A機能を利用してアンケートをとったり、また参加者からスタンプによるリアクションがあったりと、オンライン開催ならではの交流が起きていたのが印象的であった。どの講義も質疑応答の時間には大変多くの質問が寄せられ、講義をされた先生方は限られた時間の中ですべての質問に対応されていた。
 オンライン開催のオープンキャンパスも三回目となった。参加者の顔が見られないのはやはり残念だが、広い講堂で手を上げて質問するよりも、Q&A機能による質問の方が心理的抵抗は少ないかもしれない。また、オンデマンド動画の形で提供された研究紹介では、駒場の実際の研究室の風景が見られるため、本郷にて対面で行われるオープンキャンパスにはない利点があるとも言える。今後も新しい技術を活用し、駒場で学ぶことを考える人々とよりよい形で情報提供および交流をしていければよいだろう。

(前研究科長補佐/言語情報科学/英語)

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