HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報642号(2023年1月 5日)

教養学部報

第642号 外部公開

第73回駒場祭

石原孝二

image642_3_03.jpg 二〇二二年十一月十八日(金)から二十日(日)にかけて、第七十三回駒場祭が開催されました。二〇二〇年から新型コロナ感染症の拡大が始まり、二〇二〇年、二〇二一年の駒場祭はオンライン開催でしたが、二〇二二年の駒場祭は、ハイブリット開催となり、三年ぶりに一般来場者を入れるものになりました。今回は事前予約制で、一日あたり一〇、〇〇〇人に一般来場者数が制限されました。実際の三日間の来場者は、企画構成員を含めて三万六千人強とのことです。新型コロナ感染症の拡大前は、十二万人を超える来場者があったとのことで、来場者数としては以前に比べるとだいぶ控えめなものとなっていますが、三年ぶりに一般来場者が入り、駒場祭の雰囲気が少し戻ってきたように思います。今年は飲食の提供も、再開されました。飲食の提供は初修外国語クラスなどによる企画としては手軽なもののようで、コロナ禍前は多くの企画が飲食の提供を行っていました。今年は飲食の提供方法もかなり制限され、出店数もだいぶ少なかったかと思いますが、やはり飲食企画は人気があり、来場者が列をなしていました。
 駒場祭は学生の自治団体である駒場祭委員会によって運営されています。駒場祭委員会のウェブサイト(https://www.komabasai.net/committee/)によると、駒場祭委員会は駒場生(駒場に所属学部・学科のある東京大学学生)約二六〇名によって構成されています。学生委員会は駒場祭に向けた協議を駒場祭委員会と行ったり駒場祭期間中の巡回を行ったりしています。駒場祭委員会はよく統制がとれており、事前協議での交渉なども粘り強く行っていたという印象があります。コロナ禍前の駒場祭の運営も大変な労力が費やされていたのだと思いますが、二〇二〇年、二〇二一年のオンライン、そして今年のハイブリッド開催の準備や交渉は特に大変な苦労をされたのではないかと思います。目まぐるしく状況が変化し来場者や飲食の提供が厳しく制限されるなかで、実現可能な形を探りながら、駒場祭を継続すべく努力される様子に感銘を受けました。
image642_3_04.jpg 駒場祭では駒場Ⅰキャンパスは普段とは異なった目的で使われ、異なったルールが適用されることになります。学生が学外の人たちと、研究教育以外で関わる貴重な機会で、(駒場祭に積極的に参加する学生にとっては)学生生活の重要な要素になっているものかと思います。一方様々な緊張を生む場でもあるかと思います。近隣の方からの騒音への苦情もありますし、学内外から批判を受けているイベントもあります。来年以降、来場者などに関する制限のない自由な駒場祭が戻ってくることを期待しつつ、駒場祭をめぐる様々な問題についてよりオープンな議論が展開されることも願っています。

(学生委員会委員長/相関基礎科学/哲学・科学史)

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