HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報644号(2023年4月 3日)

教養学部報

第644号 外部公開

辞典案内 2023 トルコ語

髙松洋一

土日辞典
①「トルコ語辞典 ポケット版」(竹内和夫、大学書林、1989年、544頁、7500円)日本語による語釈、簡略ではあるが例文の記載があること、巻末の語尾・接尾辞一覧表および日本語トルコ語基本語彙など、学習面での利点は大きい。しかし価格の割に語彙数が少なく(見出し語約16000語)、特に新旧の外来語が致命的に不足している。訳語が不正確だったり、刊行から時間が経って今日のトルコ語の実態に即していなかったりする場合もあるので、中級では別の辞典と併用したい。大幅に改訂増補した1996年刊の机上版もあるが(見出し語約22000語)、30000円もするので図書館での利用をお勧めする。
日土辞典 ②「日本語トルコ語辞典」(竹内和夫、大学書林、2000年、864頁、30000円)見出し語の日本語ローマ字表記が独特で(ci=「ち」、cu=「つ」など)、①と同じ編者によるためやや古い部分もあるが、単語帳のような③「デイリー日本語・トルコ語・英語辞典」(川口裕司 監修/三省堂編修所 編、三省堂、2020年、768頁、3200円)よりは辞典としての使用にたえる。

土英辞典
④Redhouse Sözlüğü Türkçe-İngilizce (Bezmez他、SEV-YAY、2013年、1002頁)最近の文献を読むのにほぼ十分な10万以上の語彙を収録する。現在は英土辞典Redhouse Sözlüğü İngilizce-Türkçeと併せ、パソコン用アプリおよびスマートフォン用アプリ(Redhouse Sözlük İngilizce <->Türkçe)でも利用可能(macOS版、iOS版ともにApp内課金で480円、Windows版、Android版もある)。最初の辞典データのダウンロードには時間がかかるが、その後はインターネット接続不要でコスト・パフォーマンスはきわめて高い。パソコン用アプリでは全文検索も可能。⑤Redhouse Sözlüğü Türkçe/Osmanlıca-İngilizce (Alkım他、SEV-YAY、2014年、1340頁)やや古い文献とくに文学・歴史書を読むためには必須。ラテン文字見出しだが、手書きのリカー書体によるアラビア文字表記も示してある。かつてはRedhouse Yeni Türkçe-İngilizce Sözlük = New Redhouse Turkish-English dictionaryというタイトルだった(駒場図書館にはこちらも所蔵)。⑥Turkish and English Lexicon (Redhouse, Çağrı Yayınları、2014年、2240頁)④⑤のもとになった1890年初版の大辞典の入手しやすい縮刷版。ベイルート出版の原寸大の復刻版もあるが、携帯にはやや不便。アラビア文字見出しであるので、ラテン文字転写を知るために⑤と併用して1928年以前の文献を読むのに必須である。

土英・英土辞典
⑦Langenscheidt Standard Turkish Dictionary(Akdikmen, Langenscheidt、2011年、1104頁)例文はないが、語彙が多く、二色刷りで見易い良質な初級向き辞典。現在は版元品切れ(同出版社の土独・独土辞典は入手可能なので、ドイツ語の得意な人にはお勧め)。オンラインのみで提供されている土英・英土辞典としては、⑧tureng (https://tureng.com/en/turkish-english)や⑨sesli sözlük dictionary (https://www.seslisozluk.net)がある。使い勝手は劣るが、それぞれ無料のパソコン用、スマートフォン用アプリもある(インターネット環境が必要、⑨のみmac版なし)。⑧は語義の羅列から帰納的に意味を考える必要があるが、専門用語やイディオムを調べるのには便利。⑨は音声付きを標榜するが、ネイティブの録音ではなく合成音なので、母音の長短や強勢が実際の発音と異なることがあるため注意が必要である。語義は⑧と異なり、大まかな意味ごとに番号をつけて配列されている。

土土辞典
⑩Türkçe Sözlük (Türk Dil Kurumu、2011年、2523頁)トルコ言語協会発行の最も規範的な辞典。出版元のサイトhttps://sozluk.gov.trで音声付きのGüncel Türkçe Sözlükとして、他の辞典とともにオンライン検索が可能(登録不要・無料)。⑪Misalli Büyük Türkçe Sözlük (Ayverdi,Kubbealtı、2011年、3巻、3683頁)古語から新造語までカバーし、語源の解説や用例が豊富。出版元のサイトhttp://lugatim.com/でオンライン検索が可能(登録不要・無料)。Lugatımという名でiOS, Android用アプリとしても提供されている(インターネット環境が必要、無料)。オンラインの音声付き発音辞典としては、トルコ国営放送の⑫Telaffuz Sözlük(https://trttelaffuz.com)を推奨したい。語義を知ることはできないが、⑨と異なりアナウンサーによる録音であり、トルコの地名の発音が調べられることも利点である。なお上記の紙媒体の辞典は全て駒場図書館に所蔵されている。トルコで出版された辞典は、本郷キャンパス近くのナガラ図書(http://www.nagara-books.co.jp)などトルコ語図書を扱う書店を通じて購入可能である。

(トルコ語)

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