HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報653号(2024年4月 1日)

教養学部報

第653号 外部公開

<施設・組織紹介> 駒場博物館案内

岡本拓司

http://museum.c.u-tokyo.ac.jp/

image653-5-03.jpg 駒場キャンパスの正門を入ると、時計台のある1号館前ロータリーを右に回り込んだ奥、大きなヒマラヤスギの後ろに、格調高い正面を持った建物が立っています。それが駒場博物館です。もし巨木によって視界が遮られていなければ、900番教室のファサードと一対をなす駒場Ⅰキャンパスの正面の景観を決定づける重要な建物であることがもっとよく分かるはずです。

 この建物は、昭和初期に教養学部の前身である旧制第一高等学校の図書館として建てられた由緒あるものです。戦後は、教養学部図書館や教務課、美術博物館展示室として使われてきましたが、二〇〇三年に全面的な改修が行われ、現在の博物館施設が完成しました。

 駒場博物館は、美術博物館と自然科学博物館という二つの博物館で構成されています。

 美術博物館は、初代教養学部長・矢内原忠雄教授の掲げた文理横断型総合教育構想の一環として一九五一年に発足しました。最初は展示スペースもありませんでしたが、十年にわたり資料蒐集が行われ、一九六一年、旧第二本館内に展示室が開設されました。現在の建物の二階に移転したのは一九七一年のことです。以来、定期的に展覧会や、講演会を開催してきました。

 一方、自然科学博物館は、一九五三年に、総合文化研究科の自然科学系の教官をメンバーとする自然科学博物館委員会によって設置されました。かつては展示室を持たなかったため、年一回、駒場祭に合わせて資料を公開し、その他、講演会を定期的に開催する等の地道な教育活動を続けてきました。

 二〇〇三年秋、現在の建物の改修が完了したことをうけ、自然科学博物館もこの建物に移転し、長年にわたり独自の活動を行ってきた二つの博物館がはじめて同じ場所で活動することになりました。以来、春・夏・秋の季節ごとに年三回程、東京大学で行われている研究や活動を発信する企画展を開催しています。

 そして二〇二一年、駒場博物館は、前年度に行った災害時の安全性や展示室内の空調を整えるための大規模な改修工事が完了し、再びリニューアルオープンいたしました。

 二〇二三年は、春に「来日100周年記念―アインシュタインの日本講演旅行―駒場篇」と「美術展を本の世界で4―駒場博物館カタログ資料室2021/2022年 新収蔵分の紹介―」を同時開催し、五月から六月にかけては「東京大学経済学図書館所蔵 ウィリアム・ホガース版画(大河内コレクション)のすべて 近代ロンドンの繁栄と混沌(カオス)」が続きました。夏季特別展としては「地球医のすすめ―タネ蒔く農学部有志」と「サイエンスコミュニケーション作品展―東大農学部×女子美VD専攻」、九月からは二ヶ月間におよぶ「CONNECTING ARTIFACTSつながるかたち展03」、次いで十二月には「ファンダメンタルズ フェス(2021~2023)」を開催しました。

 二〇二四年は、三月二十日から特別展「日本農芸化学会創立100周年記念展」を開催しています(会期は九月八日まで)。その後、秋季特別展として「測量技術の歴史展(仮)」を開催する予定です。詳細はウェブサイトにて、随時発信いたしますので、今しばらくお待ちください。

 その他、展覧会以外の活動として、日本全国の美術館・博物館で開かれた展覧会カタログを幅広く収集した資料室を開室しています。ここに所蔵されている展覧会カタログは、東京大学オンライン所蔵目録(OPAC)で検索することができます。資料室の利用時間は、平日十時~十七時です。利用は基本的には、当日貸出・館外での複写のみとなります。

 駒場博物館は、一般公開を原則としており、学内外の方々に気軽に訪れていただきたいと考えています。学生と教職員の皆さんが授業や研究や仕事の合間に気楽に立ち寄り、教養学部でしかえられない視野の獲得とやすらぎの場として活用してくださることをなにより期待します。今後も、駒場キャンパス内で行われている多様な研究を発信する場として、また広範な教育の場として機能するよう、環境を整えてゆく所存です。

(駒場博物館館長/相関基礎科学/哲学・科学史)

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