HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報653号(2024年4月 1日)

教養学部報

第653号 外部公開

辞典案内 2024 オランダ語

福岡安都子

【蘭和】
講談社・オランダ語辞典(Van Sterkenburg・Boot・日蘭学会監修、1994年、7,800円)、②大学書林・オランダ語辞典(朝倉純孝他編、2014年、50,000円)、③第一書房・蘭和大辞典(南親会編、1986年、18,000円:創造社1943年刊の複製)

【蘭英・英蘭等】
Van Dale Online Professioneel(Van Dale Uitgevers):蘭英・英蘭、蘭仏・仏蘭等、各国語辞書の最上位シリーズは、現在、紙媒体ではなく、電子版サブスクリプションとして提供されている(インターネットブラウザ経由、又はスマホ・タブレット端末で利用可能)。統合アプリ「Van Dale」の下、下記⑤や⑥も組み込むことが可能。価格等、詳細はwww.vandale.nlを参照。

【蘭蘭】
Pocketwoordenboek Nederlands als tweede taal (NT2)(Van Dale刊、第4版2020年、税込22.50ユーロ)、⑥Groot woordenboek van de Nederlandse taal (de Dikke Van Dale)(Van Dale刊、第16版2022年、全3巻、税込229ユーロ)、⑦Woordenboek der Nederlandsche taal(De Vries他編、Nijhoff他刊、1882-2001年、本編全29巻・補遺4巻(Supplement 1巻、Aanvullingen 3巻)・文献要覧(Bronnenlijsten)。通称WNT。対象期間:1500-1976年)、⑧Middelnederlandsch woordenboek(Verdam他編、Nijhoff刊、1885-1971年、全11巻。対象期間:1250-1550年)、⑨Een glossarium van zeventiende-eeuws Nederlands (Van Sterkenburg編、Wolters-Noordhoff刊、第3版1981年、270頁)

【その他】
Lexicon Latinitatis Nederlandicae medii aevi(Fuchs他編、Brill刊、全8巻、1970-2005年)

現在新刊で購入可能な蘭和辞典としては①〜③がある。説明や用例については②③が豊富だが、現代語対応は①のみ。講読文献の年代により、④以下も含めて使い分けを要する。辞書を手掛けるオランダの出版社としては伝統的にVan Dale、Kramers、Prisma等が知られているが、現代の学術文献や現地の新聞・小説等を読みこなすには、④などの蘭英辞典のほか(蘭独、蘭仏等との比較も参考になる)、特にイディオムなどを、適宜、蘭蘭辞典⑥等で補う必要がある。この⑥は"de Dikke Van Dale"「厚いファン・ダール」と呼ばれ、オランダ人が言葉の意味・用法に関し疑問を感じた時に紐解く定番の辞典。なお電子版は各動詞に活用形が付記されていたりと学習者も重宝する。これに対し⑤は、同じく蘭蘭辞典でもオランダ語圏に居住する外国人の利用を考えたもので、非母語者対象オランダ語国家試験(NT2)のライティングで使用を許可されている唯一の辞書。今では使われない語彙や意味をカバーする歴史研究用の大辞典としては、近世〜近現代用の⑦や中世用の⑧などがあり、古い史料の読解のためには必須。⑦⑧その他はオンラインでも利用可能だが(https://gtb.ivdnt.org/)、各項目の記述が長く複雑なため冊子体の方が勉強になる。⑦⑧共に、大学図書館の参考書籍棚にはOxford English Dictionary等と並んで必ず置かれる定番書籍であるが、日本国内での図書館収蔵例は少ない。17世紀を対象とした簡易な字引としては⑨もある。ラテン語系語彙に関しては⑩のネーデルラント地方中世ラテン語辞典も参考になる。

(国際社会科学/法・政治)

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