HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報654号(2024年5月 7日)

教養学部報

第654号 外部公開

GFDの活動紹介――大学教育の国際化と卓越化の交差点

齊藤弘久

image654-8-02-1.jpgこのロゴは、二〇一五年から駒場キャンパスで活動しているグローバル・ファカルティ・ディベロップメント(GFD)のものです。

 「GFDなんて聞いたことがない」と言う教職員や学生の方は少なくないかもしれません。聞いたことはあっても、「GFDって何をやっているのかよくわからない」と言う教職員や学生の方もいるかもしれません。そんな疑問に答えて、GFDを「グローバル(G)」と「ファカルティ・ディベロップメント(FD)」に因数分解して説明させてください。

 教職員や学生の方の中には「FD」という言葉を聞き慣れている人も多いのではないでしょうか。FDとは教員の教授法の卓越化をサポートすることを通して、大学教育の質を向上させる仕組みのことを指します。本学では、大学総合教育研究センターや教養教育高度化機構が、学習者中心のアクティブラーニングを軸として教授法の卓越化プログラムを展開しています。

 そのFDに「グローバル(G)」を掛け合わせたところにGFDの特徴があります。GFDのミッションとは、外国語で教授をする教員をサポートすることを通して、本学の教育の国際化と卓越化を同時に進めることです。駒場キャンパスで外国語を使用して教授をする教員は、主にALESS/ALESA、TLP、GS/GSA、PEAKなどのプログラムに所属しています。高等教育のグローバル化が進行する中で、そのような教員の教授法卓越化を支援することの重要性は増大しています。

 本学の教育の国際化・卓越化に関してGFDは様々な活動をしていますが、以下主なものを三つ紹介します。

①外国大学教員を招いたFDワークショップ
 GFDの強みは運営委員会メンバーが持つ多国籍ネットワークです。二〇二三年度は、そのネットワークを活かし、ブリュッセル大学、ミシガン大学、シンガポール経営大学、メルボルン大学などから教員を招き、教育における多様性・包摂性、マインドフルネス、ウェルビーイング、オブジェクト介在型学習に関するワークショップを開催し、教育の能動性、対話性、創造性を高める研究実践の場をつくりました。

 この活動の延長として、メルボルン大学と南洋理工大学のFDチームと協働して国際的FDコンソーシアムを構築することも構想中です。それぞれ異なる強みを持つ大学と協力してプログラムを企画・運営する組織体制をつくることで、本学の教育の国際化と卓越化を加速させることが可能になると考えているからです。

②教授法卓越化のための活動資金援助
 またGFDは、教員が自身の教授法をより学習者中心のものに変容させるために新しい教材を購入したり、FD関連の学術会議で発表したりすることに対して資金援助もしています。二〇二三年度は、PEAK、ALESS/ALESA、TLP教員の教材購入や会議発表をサポートし、教材の試験利用や会議から学んだことをオンライン・セミナーで共有してもらいました。

 今のところ活動資金援助に申請する教員は外国人教員がほとんどですが、日本人教員で自身の教授法を国際化・卓越化したいと思っている方がいたら、ぜひGFDまでご連絡ください。
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③教員自身の興味関心に基づくボトムアップなFD活動
 二〇二三年度GFDは、DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)に関心を持つグローバル教育センター教員とPEAK大学院生と協働して、「Diver­sity Cafe」と呼ばれるプログラムを展開しました。研究や教育などで忙しい教員向けのプログラムを持続可能にするには、教員自身の興味関心を軸に活動を組織することが鍵だからです。

 また二〇二四年度はDi­versity Cafeをモデルとして、「Wellbeing Cafe」と「Sustainability Cafe」を立ち上げることも検討中です。このように問題関心を共有する外国人教員・大学院生と日本人教員・大学院生が意見交換できる場をつくることは、教育の国際化と卓越化を進めるために非常に有用だと考えているからです。

 気候変動や紛争に直面する世界の中で、生成AIなどの科学技術の進歩が、学び方、働き方、生き方を大きく変えようとしています。そんな世界の中で、大学の果たすべき役割は何か? その役割に関して、教育の国際化と卓越化という切り口からどんな貢献ができるのか? そんなふうに問いを立てて、GFDは日々活動しています。関心がある方は、GFDのウェブサイト(https://www.gfd.c.u-tokyo.ac.jp/)を覗いてみてください。

(国際交流センター)

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