教養学部報
第656号
数学学修相談室について
桂 利行
大学院数理科学研究科は教養学部の数学の教育を全面的に担っています。大学で学ぶ数学は高校までの数学より構成的で厳密性が強くなります。学部一年生で学ぶ線形代数と微分積分学、二年生で学ぶベクトル解析、常微分方程式などは、理科系の分野の理論的な基礎になる科目ですから、理系の学生にはしっかり身につけてほしいものです。経済学部に進む学生にとってもオプション理論で用いられるブラック・ショールズ方程式を始めとして、数学は現代の経済学に必須のものですから身につける必要がありますし、その他の文系の学生にとってもコンピュータに関係する理系の情報が氾濫する今日、理系の素養も将来リーダーとなるためには不可欠でしょう。
数学は積み重ねの科目です。一箇所わからなくなるとそれ以後は理解が崩壊する可能性があります。このような事態を防ぐ手助けとして、十年ほど前から、教養教育の数学部会が主体となって数学学修相談室が開設されています。場所は駒場国際教育研究棟(旧6号館)一階109号室で、現在は月曜5限と金曜十一時十五分~十三時の週二回、主に数学の特任教員が中心となって数学の質問に答えています。授業の速度が早くて理解し損なった理論の解説や自分で勉強している数学の本の理解できない部分に関する質問、また数学の勉強の仕方や参考書の紹介など、数学に関するさまざまな疑問に対応しています。ただし、数学のレポート問題解答の手助けはしないことになっています。これについては担当の教員とご相談ください。相談室には優秀な大学院生がTAとしてついているので、大学院生の学部時代の経験を聞くことも可能です。授業と違って格式ばったものではありませんから、ちょっと相談してみたいな、ということが生じたら数学学修相談室を訪ねてみてください。相談室の入り口には大学院数理科学研究科のキャラクターの数理ニャン(漫画家の岩渕竜子さん作)のポスターがお待ちしています。
(数理科学研究科)
*開室期間は数学部会ホームページ(https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/sugaku/)で確認できます。
無断での転載、転用、複写を禁じます。