教養学部報
第660号
第75回駒場祭
佐藤守俊
二〇二四年十一月二十二日(金)から二十四日(日)にかけて、東京大学駒場キャンパスで駒場祭が開催された。新型コロナウイルス感染症の影響で、二〇二〇年度(第71回)と二〇二一年度(第72回)はオンライン形式での開催となり、二〇二二年度(第73回)はキャンパスでの実施が再開したものの入構制限を伴うオンライン・ハイブリッド型の開催であった。二〇二三年度(第74回)からようやく制限のない駒場祭が復活した。晴天であったことも重なって、今年度の第75回駒場祭の来場者は約七万八千人に達した。さらに来場者数の増加につながったのが、直前の土曜日に、テレビ番組「出没!アド街ック天国」で駒場東大前が取り上げられたことだろう。ランキング形式で、街の魅力を伝える同番組では、駒場キャンパスの学生や研究者、教職員であれば誰もが知る定食屋、ラーメン屋、ベーカリー、旧邸、民藝館などが次々とランクインする中で、第四位として駒場祭が取り上げられた。ちなみに第一位は東京大学駒場キャンパス。駒場祭当日のキャンパスの様子はさまざまなSNSでも発信され、東京大学を広く知っていただくことにつながった。ハッシュタグ(#駒場祭2024、など)で駒場祭を振り返ってみるのも楽しい。
駒場キャンパスの教員と職員からなる学生委員会の委員をつとめる筆者は、駒場祭が行われているキャンパスの中を隅から隅まで巡回した。教室で行われている企画を見ると、その部屋が想像以上に作り込まれていることに気づく。学生に話しかけてみると、企画への愛を熱く語ってくれた。屋外でパフォーマンスをする学生は輝いていて、その目は真剣そのもの。普段の授業で接する彼らとは別人のように見えた。このような素晴らしい駒場祭を作った人たちのことも紹介したい。駒場祭委員会の面々である。駒場祭委員会は学生の自治団体で、同委員会のウェブサイトによると、駒場生(駒場に所属学部・学科のある東京大学学生)約二七〇名によって構成されている。駒場祭の当日に赤いハッピを着てキャンパス内の巡回等を行なっていた人たちを覚えているだろう。彼らは当日の業務だけでなく、駒場祭の立案から企画構成,運営までのほぼ全てを統括している。このような巨大なイベントを成功させた駒場祭委員会の頑張りに心から敬意を表したい。また、それぞれの企画を成功させ、来場者を楽しませた企画担当者のみなさんに拍手を送りたい。
駒場祭の開催にあたっては、近隣住民の方々への感謝を忘れないようにしたい。お祭り騒ぎが三日間も続いたにもかかわらず、この若いエネルギーを温かく受けとめて、静かに見守ってくださった。また、普段は止まらない急行を駒場東大前駅に止めるという計らいに加え、駒場祭に向かう人の波を渋谷駅で巧みに誘導してくださった京王電鉄。さらに、警察も万が一の不測の事態に備えてくれた。駒場祭のみならず、わたしたちが日ごろ駒場の地で大学生活を楽しむことができているのは、地域のみなさまから理解を得ることができているからなのだ。
第75回駒場祭は、多くの人々の協力と熱意によって成功裏に終わった。来場者の笑顔と歓声が響くキャンパスは、駒場祭の魅力を改めて実感させるものだった。次の駒場祭はどんな三日間になるのだろう。今から楽しみである。
(学生委員会委員長/生命環境科学/化学)
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