教養学部報
第662号
辞典案内 2025 古典語〜サンスクリット語〜
加藤隆宏
学生の頃、先輩からの勧めで当時定価で13000円ほどであったアプテ梵英辞典(V. S. Apte, The Practical Sanskrit-English Dictionary)を購入した。辞書にそんな大金を投ずるのはそれなりの勇気が必要で、サンスクリット語に本格的に取り組む覚悟を試されているように感じたものであった。せっかく大枚をはたいたことだし、ということで辞書をせっせと活用したことが現在につながっているのかどうかはよくわからないが、今でも手にとる度に様々な思い出が蘇る。
その他、モニエル(Monier-Williams, A Sanskrit English Dictionary)がいいだの、いややっぱりペーヴェー(Böhtlingk und Roth, Grosses Petersburger Wörterbuch)しか勝たんだの、サンスクリット語学習者の辞書談義は尽きることがないが、初級の授業においては教科書に付されている語彙集を使うので、皆さんは辞書の心配をする必要はない。便利な世の中になったもので、これらの辞書は今では無料でネットで公開されている(https://www.sanskrit-lexicon.uni-koeln.de/)が、30年後の思い出話のために紙の辞書を入手したいという場合には相談にのります。
(文学部/インド哲学仏教学)
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