教養学部報
第662号
辞典案内 2025 イタリア語
山﨑 彩
【伊和辞典】
初修外国語としてイタリア語を選択した人は、必ず辞書を入手してほしい。だが、辞書によっては情報が不正確なことがあるし、ネット上の無料辞書や翻訳アプリは精度が高くない。その中で信頼できるほぼ唯一の辞書は、後述する伊伊辞典⑥Garzanti中辞典を翻訳した①『伊和中辞典』(池田廉ほか編、小学館、第二版1999年)である。アプリや電子辞書もあるが、どの媒体で使うにせよ、コンテンツがこれであれば間違いない。見出し語7万5000。小型辞書②『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(池田廉ほか編、小学館、2001年、1015頁)は、『伊和中辞典』の簡略版+和伊辞典で、薄くて軽いのに内容充実。総見出し語6万5000。
【和伊辞典】
③『和伊中辞典』(西川一郎編、小学館、第二版2008年)約5万3000語。基本語の用法等解説付きの学習辞典。④『和伊辞典』(坂本鉄男編、白水社、2005年、1217頁)巻末の固有名詞や名作タイトルのイタリア語一覧が便利。見出し語は3万3000。
【伊伊辞典等】
紙の辞書でもっとも使いやすいのは、新版が毎年出る⑤Zanichelli社のLo Zingarelli、あるいは、⑥Garzanti社の中辞典。
伊伊辞典は文流洋書部(book@bunryu.co.jp)、イタリア書房(info@itali-ashobo.co.jp)等に売っているので問い合わせを。
伊伊辞典の場合、ネット上の辞典もお勧め。百科事典を出しているTreccaniのサイト(https://www.treccani.it)はとても便利。
⑦Vocabolario della lingua italiana(1986-1994、全5巻、見出し語18万5000)ほか、百科事典、ダンテ百科事典(Enciclopedia dantesca, 1970)から一括検索できる。
中世文学など古い時代のテクストを読むときには、⑧Grande dizionario della lingua italiana(S. Battaglia編、UTET、1961-2002、全21巻)を使うと良い。「靴の箱にカード」の時代ナポリの碩学により着手され、2002年ついにZ(ゼータ)に到達した記念碑的大辞典。これも全巻全ページがネット上に公開されている(https://www.gdli.it/)。
現代語ならば、⑨Grande dizionario italiano dell'uso(T.de Mauro編、UTET、1999-2000、全6巻)。ネット上にこの縮小版Il dizionario De Mauro(2000)がある(https://dizionario.internazionale.it/)。慣用表現を調べるのに便利。
地名や人名などの正しい発音を知りたいときには⑩Dizionario italiano d'ortografia e di pronunzia(略称DOP, B. Miglioriniほか編、ERI、2010)を。これもネットで検索可能。
⑤〜⑩は駒場にある。OPAC参照(⑤は駒場図書館に配架されているのでぜひ活用してください)。
(言語情報科学/フランス語・イタリア語)
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