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最終更新日:2024.03.26

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受賞・書籍刊行等 2023.01.24

【受賞】小川哲氏、第168回直木賞を受賞

本研究科超域文化科学専攻出身の小川哲(おがわ・さとし)さんの『地図と拳』が第168回直木三十五賞を受賞しました。

小川さんは東京大学教養学部超域文化科学科を卒業後、超域文化科学専攻に進学、博士課程在学中に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテストの大賞を受賞して作家デビュー、その後は2017年に『ゲームの王国』で第31回山本周五郎賞を受賞、2020年に『嘘と正典』が第162回直木賞の候補となりました。そして2023年1月19日、2回目の直木賞ノミネートとなった『地図と拳』にて、晴れて受賞が決まりました。なお、同書は第13回山田風太郎賞も受賞しています。
受賞作『地図と拳』は、日露戦争の前から第二次世界大戦までの半世紀に渡り、満洲(中国東北部)の架空の町を舞台に史実と空想を織り交ぜて書かれた重厚な長篇です。SFとも、歴史小説とも、(選考委員の宮部みゆき氏の言葉にあるように)冒険小説とも読める、ジャンルを横断した作品で、小川さんの今後のさらなる活躍に期待したいと思います。

小川さんは、教養学部創立70周年記念出版物『東京大学駒場スタイル』(東京大学出版会、2019)に、「大工と爆発」という(奇しくも受賞作と韻を踏むような)タイトルのエッセイを寄稿されています。実は小川さんは理科一類に入学し、一度工学部に進学したのですが、教養学部に転部されています。上記のエッセイによれば、ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』という一冊の書物をきっかけに進学先を変更することになったとのこと。それが直木賞作家にいたる第一歩だったと知ると、なおさら感慨深いですし、本学の特徴であるレイト・スペシャリゼーション(専攻を入学後に決める制度)が小川さんの才能の開花を助けたかもしれないとも思います。小川さん、受賞おめでとうございます。

(武田将明 言語情報科学専攻 教授)

【関連URL】
直木三十五賞,日本文学振興会:https://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/index.html?TabModule426=0

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