今年度第1回の「駒場サイエンス倶楽部」は、第2回学際科学科公開シンポジウムと共催で開催します。タイトルは『地球変遷と生物進化』。地球変遷の地質学者とゴンドワナ植物学者のコラボです。
小宮 剛(学際科学科)
「ゴンドワナ超大陸とカンブリア紀初めの生物進化」
火星や系外惑星など生命の存在を期待させる天体はあるものの、地球がそれらと決定的に違うのは人間につながる後生動物が存在する点である。それだけに後生動物の出現は地球生命史を考える上でもっとも重要な問題です。後生動物は約6.3億年前の全球凍結後、エディアカラ紀に出現したと考えられている。そして、エディアカラ紀後期~カンブリア紀のゴンドワナ超大陸の形成期に急激な多様化が起こり、その急激な多様化の原因として、超大陸形成などに伴う大陸フラックスの増加が考えられる。地球と生命の共進化について紹介したい。
伊藤 元己(学際科学科)
「南半球で隔離分化している植物はゴンドワナ大陸起源か?」
南アメリカ、オセアニア、南アフリカなど、現在の南半球の大陸間に隔離して分布する近縁な植物群は、かつてのゴンドワナ大陸に分布していた遺存植物であり、大陸移動の重要な証拠の1つと考えられて来た。今回は、南半球で隔離分布する植物群として、裸子植物のナンヨウスギ科とマキ科、被子植物のナンキョクブナ属とタバコ属植物などの例を紹介し、遺伝子のDNA塩基配列情報を用いて、これらの植物群が本当にゴンドワナ大陸に起源を持つ植物群であるかを検証する。
西田 治文(中央大・理工学部)
「花はどこから来たか:ゴンドワナから探る被子植物の起源」
「花」を咲かせる植物、すなわち被子植物の起源は、植物の進化史における最大の謎のひとつである。いつ、どこで、どのような祖先から、どのような背景において、どういう発生機序に基づいて出現したのか、全くわかっていないが、白亜紀最初期にゴンドワナ大陸の北側に出現したことくらいは明らかになってきた。ペルム紀のゴンドワナに繁茂していたグロッソプテリスという絶滅裸子植物は、被子植物の祖先候補の一つである。鉱化化石という驚くべき保存状態の植物化石が伝える2億5千万年前の植物の生活史を通して、被子植物の謎に迫る。
第1 回 駒場サイエンス倶楽部共催 第2 回学際科学科公開シンポジウム(PDF)
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