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2022.06.17
第1回グローバル・スタディーズ・セミナー 井上博之「地図にない場所を創る」
区分 | 講演会等 |
対象者 |
社会人・一般・在学生・教職員 |
開催日時 | 2022年6月30日 15:10-16:40 |
会場 |
Zoom Webinar |
参加費 | 無料 |
申込方法 |
要事前申込み |
概要 | 虚構の物語を構築する映画や小説はグローバル化の時代を生きるためになにを教えてくれうるのだろうか。1つのテクストを丁寧に読む行為は世界を思考することにどのようにつながりうるのだろうか。 アメリカ合衆国と深く結びついたジャンルであるウェスタンは、勇敢な開拓者や孤高のガンマンの活躍によって安定した共同体が成立する過程を繰り返し語ってきた。ウェスタンは特定の国家の特定の地域と結びついた名前を持つおそらく唯一のジャンルである点において非常にローカルかつナショナルな物語の型であり、野蛮や悪の排除・克服のうえに成り立つ社会を描く点において均質性を強く志向するものであるように見える。 しかし、他方では時代とともにつねに変化を続けてきたジャンルでもある。その1つの例として本報告で取りあげる映画『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』(The Three Burials of Melquiades Estrada, 2005)は、合衆国の俳優として長いキャリアを持つトミー・リー・ジョーンズが監督し、メキシコの作家ギジェルモ・アリアガが脚本を執筆した作品である。ここでは1人のメキシコからの移民の死をめぐって復讐と贖罪の物語が語られる。ウェスタンやミステリー、ロード・ムービーなどの要素を取りいれながら2001年の同時多発テロ以降の米墨国境地帯を描くこの作品は、複数のレベルで身近なものと異なるものとのあいだの境界線を撹乱していく。 本報告では、この映画の詳細な分析をはさみながら----ドナルド・トランプの国境の壁建設宣言でも話題になったように----現在もグローバルな課題を提示し続けているこの場所に1本の映画がどのように向きあっているのかを考えてみたい。その過程において、最初に投げかけた2つの大きな問いに答えるとまではいかなくても、フィクションをとおして世界について考えることのおもしろさを共有できればと思う。 共催:地域文化研究専攻 (今回のグローバル・スタディーズ・セミナーは、地域文化研究専攻研究集会を兼ねるものです) |
関連URL | http://www.gsi.c.u-tokyo.ac.jp/event/4754/ |
お問合せ先 | グローバル・スタディーズ・イニシアティヴ(GSI)事務局 (contact@gsi.c.u-tokyo.ac.jp) |