HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報591号(2017年5月 2日)

教養学部報

第591号 外部公開

<施設・組織紹介>アメリカ太平洋地域研究センター(CPAS)

西崎文子・橋川健竜

www.cpas.c.u-tokyo.ac.jp

新入生のみなさん、入学おめでとうございます。駒場キャンパスの研究教育施設を活用し、柔軟な視野から、さまざまな問題を深く考える経験を積んでもらいたいと願っています。それを支援する組織の一つとして、アメリカ太平洋地域研究センター(CPAS)を紹介します。駒場キャンパスの中央を走る銀杏並木の西端近く、十四号館に接続する二階建ての建物にそのセンターはあります。

このセンターは、北米とオセアニア地域に焦点をあてながら、アメリカ太平洋地域の政治、経済、文化を研究する専門組織です。 アメリカ合衆国に関する国立大学唯一の研究機関として一九六七年に設立され、本年度は設立五〇周年を迎えます。近年は合衆国の政治や文化だけでなく、中南米やアジア太平洋の諸国と合衆国との関係を強く意識しながら、世界に占めるアメリカ文明の意味を捉える研究を数多く展開しています。二〇一〇年にはこのセンターを基盤にグローバル地域研究機構という組織を立ちあげ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、中東の諸地域および人間の安全保障を専門とする学内の研究者に共同研究の場を提供するよう努めています。たとえば昨年は、日本を代表するジャズドラマーの技法を分析するドキュメンタリーの上映会・討論会を開いて、アメリカ生まれの音楽であるジャズが日本でどう変化したかを検討しました。また年度末に国際シンポジウムを共同開催し、第二次世界大戦後の国際秩序を二〇一七年初めの時点から振りかえると何が見えてくるかを議論しました。

こうしたシンポジウムに参加して耳を傾けるのももちろん楽しいのですが、新入生のみなさんには、定期的に開催しているCPAS公開セミナーに参加して、大学における研究の最前線を味わってみることをお勧めします。このセミナーは、国内外の一流の講師を招き、現在学術の世界で話題になっている問題を自由に討議してもらっています。米欧豪亜の各国からセンターを訪れる研究者が、地域文化研究や国際関係論を志す院生・学部生を交えたオーディエンスと活発な議論を重ねています。昨年は、オーストラリアとアメリカそれぞれの公民権運動を表象した写真の分析、二〇世紀初めに生物学研究を志したアメリカ人女性のキャリア、大統領選挙の投票動向に関する事前の分析など、多様なテーマを取り上げました。ほとんどの場合使用言語は英語ですが、決して流暢でなくてもかまいません。自分の疑問を率直に伝え、納得いくまで話を聞く練習をする、格好の場ですので、学部新入生のみなさんも積極的に挑戦してみてください。

アメリカ太平洋地域に関する情報文献を収集し、全国の研究者や学生に広く公開することも、本センターの重要な活動です。センター図書室はアメリカ合衆国の政治・歴史・文化に関する専門書を中心に、七万冊を越える文献を有していて、誰でも自由に利用できます。雑誌も豊富に揃えています。みなさんも学生証さえ見せれば図書を借り出せるので、ぜひ利用してみてください。マイクロフィルム、DVDを含む視聴覚資料も充実しています。授業の合間にそれらの資料を眺めてみるのも楽しいでしょう。

現在センターは、南太平洋島嶼諸国やオーストラリアを含むオセアニア地域に関する図書資料を、意識的に増やしています。多文化共生の実験の場とも称されるアメリカ太平洋地域の過去と現在を考え、未来を予測する、活発な研究空間へとセンターを育てていきたいのです。詳しくはセンターのホームページを見てください。上に紹介したセミナー、シンポジウム、図書室の利用規程他、いろいろな情報が掲載されています。

(グローバル地域研究機構/歴史)(グローバル地域研究機構/英語)

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