HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報635号(2022年4月 1日)

教養学部報

第635号 外部公開

<施設・組織紹介> 駒場博物館

久我隆弘

http://museum.c.u-tokyo.ac.jp/

image635_5_03.jpg 駒場Ⅰキャンパスの正門を入り、時計台のある1号館前ロータリーを右に回り込んだ奥を見ると、大きなヒマラヤスギの後ろに教会風の格調高い正面を持った建物が立っています。それが駒場博物館です。もし巨木によって視界が遮られていなければ、九〇〇番教室のファサードと一対をなす、駒場Ⅰキャンパスの正面の景観を決定づける重要な建物であることがもっとよく分かるはずです。この建物は、昭和初期に教養学部の前身である旧制第一高等学校の図書館として建てられた由緒あるものです。戦後は、教養学部図書館や教務課、美術博物館展示室として使われてきましたが、二〇〇三年に全面的な改修が行われ、建物全体が本学大学院総合文化研究科・教養学部付属の大学博物館として生まれ変わりました。駒場博物館は、それまでは別組織であった美術博物館と自然科学博物館という二つの博物館が統合されて設立されたものです。美術博物館は、初代教養学部長・矢内原忠雄教授の掲げた文理横断型総合教育構想の一環として一九五一年に発足しました。最初は展示スペースもありませんでしたが、十年にわたり資料蒐集が行われ、一九六一年、旧第二本館内に展示室が開設されました。現在の建物の二階に移転したのは一九七一年のことです。以来、定期的に展覧会や、講演会を開催してきました。自然科学博物館は、教養学部の自然科学系の教官をメンバーとする自然科学博物館委員会によって一九五三年に設置されました。かつては展示室を持たなかったため、年一回、駒場祭に合わせて資料を公開し、その他、講演会を定期的に開催する等の、地道な教育活動を続けてきました。二〇〇三年秋、上記の建物改修が完了したことをうけ、自然科学博物館もこの建物に移転し、長年にわたり独自の活動を行ってきた二つの博物館がはじめて同じ場所で活動することになりました。以来、春・夏・秋の季節ごとに年三回程、東京大学で行われている研究や活動を発信する特別展や所蔵品展を開催しています。二〇二〇年、当館では展示室の天井パネルの落下防止ネット設置、エアコン機器の変更、サーキュレーターの設置、展示室入口と建物ロビー部の自動扉設置など、災害時の安全性や展示室内の空調を整えるための大規模な改修工事が行われました。二〇二一年春には、リニューアルオープン記念特別展として「宇佐美圭司 よみがえる画家」展が開催され、秋には「CONNECTING ARTIFACTSつながるかたち展01」と「久保亮五生誕百周年記念『原理の学』に魅せられて――物理学者・久保亮五の研究と人生」という特別展が展示室を二つに分けるかたちで同時開催されました。二〇二二年は、三月下旬~六月下旬に所蔵品展、七月中旬~九月上旬と九月下旬~十一月下旬に特別展を開催する予定です。詳細はホームページにて随時発信いたしますので、今しばらくお待ちください。その他、展覧会以外の活動として、日本全国の美術館・博物館で開かれた展覧会カタログを幅広く収集した資料室を開室しています。ここに所蔵されている展覧会カタログは,東京大学オンライン所蔵目録(OPAC)で検索することができます。基本的に閉架式ですので、当日貸出・館外での複写のみとなります。駒場博物館は、一般公開を原則としており、学内外の方々に気軽に訪れていただきたいと考えています。学生と教職員の皆さんが授業や研究や仕事の合間に気楽に立ち寄り、教養学部でしかえられない視野の獲得とやすらぎの場として活用してくださることをなにより期待します。今後も、駒場キャンパス内で行われている多様な研究を発信する場として、また広範な教育の場として機能するよう、環境を整えてゆく所存です。

(駒場博物館館長/相関基礎科学/物理)

第635号一覧へ戻る  教養学部報TOPへ戻る

無断での転載、転用、複写を禁じます。

総合情報