HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報653号(2024年4月 1日)

教養学部報

第653号 外部公開

辞典案内 2024 トルコ語

髙松洋一

土日辞典
「トルコ語辞典 ポケット版」(竹内和夫、大学書林、1989年、544頁、7500円)簡略な用例の記載、巻末の語尾・接尾辞一覧表および日本語トルコ語基本語彙など、学習面での利点は大きい。しかし語彙数が少なく(約16000語)、特に外来語が致命的に不足している。不正確な訳語や、刊行が古いため今日のトルコ語の実態に合わない点も散見され、中級では別の辞典と併用したい。大幅に改訂増補した1996年刊の机上版もあるが(約22000語)、30000円もするので図書館での利用を勧める。

日土辞典
「日本語トルコ語辞典」(竹内和夫、大学書林、2000年、864頁、30000円)見出し語の日本語ローマ字表記が独特で(ci=「ち」、cu=「つ」など)、①と同じ編者によるため古い部分もあるが、単語帳のような③「デイリー日本語・トルコ語・英語辞典」(川口裕司 監修/三省堂編修所 編、三省堂、2020年、768頁、3200円)よりは辞典としての使用にたえる。

土英辞典
Redhouse Sözlüğü Türkçe-İngilizce (Bezmez他、SEV-YAY、2013年、1002頁)最近の文献を読むのに適した10万以上の語彙を収録する。英土辞典Redhouse Sözlüğü İngilizce-Türkçeと併せたインターネット接続不要のパソコン用およびスマートフォン用アプリ (Redhouse Sözlük İngilizce<->Türkçe)もあったが、2024年1月段階で新規にダウンロードできなくなっている。⑤Redhouse Sözlüğü Türkçe/Osmanlıca-İngilizce (Alkım他、SEV-YAY、2014年、1340頁)やや古い文献とくに文学・歴史書を読むためには必須。ラテン文字見出しだが、手書きのリカー書体によるアラビア文字表記も併記。かつてはRedhouse Yeni Türkçe-İngilizce Sözlük = New Redhouse Turkish-English dictionaryというタイトルだった(駒場図書館にはこちらも所蔵)。⑥Turkish and English Lexicon (Redhouse, Çağrı Yayınları、2014年、2240頁)④⑤のもとになった1890年初版の大辞典の入手しやすい縮刷版。ベイルート出版の原寸大復刻版もあるが、こちらは携帯にやや不便。アラビア文字見出しなので、ラテン文字転写を知るために⑤と併用して1928年以前の文献を読むのに必須である。

土英・英土辞典
Langenscheidt Standard Turkish Dictionary(Akdikmen, Langenscheidt、2011年、1104頁)例文はないが、語彙が多く、二色刷りで見易い良質な初級向き辞典。現在は版元品切れ(同出版社の土独・独土辞典はアプリ版も含めて入手可能なので、ドイツ語の得意な人にはお勧め)。オンラインのみで提供されている土英・英土辞典としては、⑧turenghttps://tureng.com/en/turkish-english)や⑨sesli sözlük dictionaryhttps://www.seslisozluk.net)がある。使い勝手は劣るが、それぞれ無料のパソコン用、スマートフォン用アプリもある(要インターネット環境、⑨のみmac版なし)。⑧は語義の羅列から帰納的に意味を考える必要があるが、専門用語やイディオムを調べるのには便利。⑨は音声付きを標榜するが、ネイティブの録音ではなく合成音なので、母音の長短や強勢が実際の発音と異なることが多い(音声については下記⑩または⑫のサイトを推奨)。語義は⑧と異なり、大まかな意味ごとに番号をつけて配列されているのでわかりやすい。

土土辞典
Türkçe Sözlük (Türk Dil Kurumu、2023年、2巻、3735頁)トルコ言語協会発行の最も規範的な辞典が昨年12年ぶりに大幅改訂された。出版元のサイトhttps://sozluk.gov.trで音声付きのGüncel Türkçe Sözlükとして、他の辞典とともにオンライン検索が可能(登録不要・無料)。無料のスマートフォン用アプリも公開されている。⑪Misalli Büyük Türkçe Sözlük (Ayverdi, Kubbealtı、2020年、1巻、1412頁)古語から新造語までカバーし、語源の解説や用例が豊富。3巻本だった初版を大判のペーパーバック1冊にまとめてある。出版元のサイトhttp://lugatim.com/でオンライン検索が可能(登録不要・無料)。オンラインの音声付き発音辞典としては、トルコ国営放送の⑫Telaffuz Sözlükhttps://trttelaffuz.com)を推奨する。語義はほとんど掲載されていないが、⑨と異なりアナウンサーによる録音であり、トルコの地名の発音が調べられることも利点。なお上記の紙媒体の辞典の多くは駒場図書館に所蔵されている。トルコで出版された辞典は、本郷キャンパス近くのナガラ図書(http://www.nagara-books.co.jp)などトルコ語図書を扱う書店を通じて購入可能。

(トルコ語)

第653号一覧へ戻る  教養学部報TOPへ戻る

無断での転載、転用、複写を禁じます。

総合情報