教養学部報
第664号
<時に沿って> My only season
高津飛鳥
はじめまして。私の姓名は①A、K、S、T、Uの各文字を偶数回ずつ使い②姓の文字の種類が名より一つ多く③姓の文字数が名より二つ多いという規則を持つAsuka TAKATSU(高津飛鳥)です。この度は自己紹介の機会をいただきありがとうございます! しかし数学では講演中に自己紹介をする慣習があまりなく(相手が誰かわからないまま質問を受けて、そのまま対応することがよくあります)何を書けばよいか悩んでいます。そこでありがちで恐縮ですが⑴研究分野 ⑵数学を選んだきっかけ ⑶どんな大学生活だったかについて述べます。
⑴ 私の研究分野は数学の中の幾何解析で、真っ直ぐな心で曲がったものを調べています。もう少し突っ込むと、空間の幾何を主に物理現象を介して解析しています。
⑵ 自分がこどもの頃から数学や幾何学的直感に優れていた、という記憶は全くありません。例えば、小学校の授業で「驚くことに昔の人は地球が平らだと信じていました」と聞いた私は「地球って平らじゃないの?」と動転しました。しかし数学を学んだお陰で、今ではこんな私でも宇宙に行かずに地球が丸いことを示す術を知っています。(皆さんならどう示しますか?)その後も、壊れた時計を使い続けたり、鶴と亀の頭と足を同時に数えたりするなどの奇怪さが受け入れられず、暫くは数学が嫌いでした。しかし中学三年の物理の授業で「物が落ちるという現象は数式で表せる」と聞いて頗る感動し、物理学に惹かれたものの諸々あり、高校時代には数学を研究したいと思うようになりました。ただ当時は漫然と数学に興味を持っていただけで、自らばりばり専門書を読んで勉強するような能動的なことはしていませんでした。ちなみに高校時代に情熱を燃やした一番のことは、あるバンドの追っかけです。
⑶ 大学では数学科に入学し、非常に楽しい学部生時代を過ごしました。数学に関して、講義はそれなり真面目に取り組んでいたと思いますが、自主的に専門書をがんがん読むような能動的な勉強はやはりしておらず、ゼミ選択時には知識不足のせいで凄く悩みました。そしてゼミ選択の最終的な決め手は「幾何と解析の両方を扱うので、大変だと思わないで二倍以上楽しめる気持ちが大事」という指導教員の文言で、実際に今は二倍どころか無限大に発散する勢いで楽しんでいます。また、修士までは経済事情もあり、バイト(塾講師、生協のレジ、スーパーの売り子、MRI実験参加など実に色々なバイト)に多くの時間を割きましたが、博士からは数学に没頭できる環境になり、思う存分に数学をしました。ただ、数学ができても楽しくない状況はあり得るので、一貫して楽しい大学生活を送り、学生時代が私のかけがえのない時期となったのは、環境を整えてくれた周囲の先生たちのお陰だと感じています。
そこで学生の皆さんに「大いに楽しい大学時代を過ごした」と感じてもらえるよう、私も教員として頑張りますので、どうぞよろしくお願いたします!
(数理科学研究科)
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