教養学部報
第668号 ![]()
<送る言葉> 福井先生を送る
今井一博
福井先生は私にとって東大整形外科医局の先輩で、私が東大病院研修医になった一九九四年には大学内での膝診のトップでありました。福井先生はその後医局長をつとめられ、医局人事などでご相談したことが何回かありました。当時雲の上の存在でしたが、個性が強い先輩が多い中、福井先生は若輩者の話もしっかり聞いてくれる、親しみやすく頼もしい先生だなという印象でした。
その後私は整形外科の臨床研修を続け、スポーツ整形外科をsubspecialtyとする整形外科専門医となったわけですが、二〇一〇年に「変形性膝関節症」をテーマとする学会シンポジウムで同じシンポジストとなりました。シンポジスト全員が登壇して総合討論する際に、福井先生はどのテーマでも新知見をわかりやすく説明され、変形性膝関節症の第一人者のすごみを感じました。
福井先生は膝の専門家であると同時にスポーツ整形外科の専門家であります。柔道を長くされており、ご自身も柔道で受傷したスポーツ損傷に対して整形外科手術を受けております。太い腕と厚い胸板を見ると相当のパワーがあるものと想像されます。私自身はレスリング選手の医科学サポートに留まりレスリングや柔道はしないので福井先生と組み合ったことがなく、あくまで想像ですが。
福井先生は二〇一一年より駒場に赴任され、私が二〇一三年四月に赴任してから長い間お世話になってきました。毎年夏にご一緒させていただく解剖実習は、福井先生の教員の姿を間近に見られる貴重な時間でした。私自身も手術を行ってきた経験から身体の仕組みは熟知しているつもりですが、福井先生の身体の仕組みへの精通度合いは半端なく、そして解剖実習受講者(学生や教員)に対する説明はきめ細かくてわかりやすく、私自身が学びになること多々でした。さらに、受講者からの質問が非常に多く、質問しやすい雰囲気の作り方も学びになりました。授業で受講者からの質問攻めにあうのは教員冥利につきますので、福井先生から学んだ雰囲気作りは継承していきます。
大学院生への研究指導も、福井先生はきめ細かくていねいに行っており、愛を感じるものでした。愛を感じさせる福井先生の研究指導、熱が入ると厳しめになってしまう私にとって、見習うべきお手本です。
教室主任や系長などの要職を涼しい顔でこなされて、滞りなく教育活動、研究活動、社会活動をされており、変形性膝関節症の第一人者であり続けています。福井先生は駒場をご退職されても変形性膝関節症の第一人者であり続けるでしょう。福井先生から学んだことを引き継ぐことを決意しつつ、心からお礼を申し上げ、今後ともよろしくお願いいたします、という挨拶とともに福井先生に送る言葉をしめます。
(生命環境科学/スポーツ・身体運動)
無断での転載、転用、複写を禁じます。

