教養学部報
第671号 ![]()
辞典案内 2026 古典語〜サンスクリット語〜
加藤隆宏
学生時代の辞書にはそれぞれ思い出がある。13000円ほどするアプテ梵英辞典(V. S. Apte, The Practical Sanskrit-English Dictionary)を購入するという入門式を終えた学生たちには、少し学習が進んだ段階で、先生や先輩からさかんに勧められるモニエル=ウィリアムズ辞典(Monier-Williams, A Sanskrit English Dictionary)の購入という次の通過儀礼が待っている。オリジナルのオックスフォード版(古書)は高価かつ入手困難だったため、選択肢は、アプテで頑張るか、3000円ほどの「インド版モニエル」を入手するかの二択であった。ただこのインド版は、船便で届くまで二か月以上かかる、微妙に臭い、時に謎の虫がぺたんこになって挟まっている、サイズが異様に大きい(体感的にはオリジナルの3倍以上)など、なかなか主張の強い代物だった。インド版を購入したまじめな印哲の学生は「カバンがでかい」と揶揄され、腰を痛めるものまで現れた。
さて、本題の辞書案内だが、初級の授業においては教科書に付されている語彙集を使うので、皆さんは腰を痛める心配はない。現在では、上級者向けのペーヴェー(Böhtlingk und Roth, Grosses Petersburger Wörterbuch)を含め、主要な辞書はネット上に無料で公開されている(https://www.sanskrit-lexicon.uni-koeln.de/)。とはいえ、30年後の武勇伝のために紙の辞書を手にしたくなったら、いつでも相談してほしい。
(文学部/インド哲学仏教学)
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