HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報673号(2026年6月 1日)

教養学部報

第673号 外部公開

<時に沿って> 原点としての駒場

川﨑聡史

image673-6-3.jpg 二〇二六年四月に地域文化研究専攻に着任しました川﨑聡史と申します。ドイツ現代史、主に西ドイツの社会運動を研究してきました。栃木県で生まれ育ち、大学進学とともに上京して以来、駒場で学んできました。博士号取得後、駒場のドイツ・ヨーロッパ研究センター(DESK)特任助教として一年間働いたのち、二〇二三年度に獨協大学に着任し、三年間勤務しました。

 四月に入り、期待と不安が入り混じった新入生の姿を目にしながらキャンパスを歩いていると、私自身の学生時代が思い起こされます。私にとって駒場は、大切な原点です。

 まず、駒場は私の研究の原点です。私は、二〇一一年三月の東日本大震災の二週間後に上京し、文科三類に入学しました。当時一八歳だった私は、震災の持つ意味についてほとんど理解しないまま、駒場キャンパスに足を踏み入れましたが、そこでは学生団体による震災関連のイベントに関するポスターや立て看板にとりわけ目を引かれました。私にとって、社会問題に実際に取り組み、運動に参加する人々というのは初めて出会う存在であり、強い関心を抱きました。その後、紆余曲折はあったものの、現在まで社会運動に興味を持ち続けています。

 駒場は、私の進路選択の原点でもあります。入学時は大学院進学、ましてや研究者になることなど考えていなかった私ですが、教員と学生の距離が近い駒場の雰囲気に触発され、進学を志すようになりました。

 必修授業を担当してくださった外村大先生には、前期課程の頃から勉強会を定期的に開催していただきました。レジュメの作成方法すら知らない一年生に対して、大変親切に対応してくださいました。また、史実に即して冷静な議論を積み上げ、多様な立場の歴史的主体に理解を示しつつ、特にマイノリティに寄り添う先生の姿勢から、私は研究者という職業に憧れを抱いたのでした。

 後期課程で地域文化研究分科に進学した私は、そこで博士課程までご指導いただくことになる石田勇治先生に出会いました。二〇二二年度に退職された石田先生は、高名な歴史家であることはもちろんですが、多くの学生を育ててこられた教育者でもあり、私の進路についても幾度となく親身に相談に乗ってくださいました。その支えもあって、私は研究者を目指す第一歩として大学院進学を決断しました。

 紙幅の都合上、お二人の名前しか挙げることができませんが、駒場では他にも多くの先生方にお世話になりました。そして今、その先生方とご一緒にお仕事ができることを光栄に感じています。これまでは学生として受け取ったたくさんの大切なものを、これからは教育者として学生の皆さんに少しでも多く渡していけるよう努めてまいります。また、新たに訪れる出会いと刺激を大切にしつつ、研究者として駒場で知った歴史の面白さをいつまでも忘れずにいたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

(地域文化研究/ドイツ語)

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