HOME総合情報概要・基本データ刊行物教養学部報674号(2026年7月 1日)

教養学部報

第674号 外部公開

<時に沿って> 通算10年目の駒場生活に寄せて

森 史奈

 四月より広域科学専攻生命環境科学系に助教として着任いたしました森史奈と申します。二〇一五年に東京大学教養学部理科二類に入学し、工学部精密工学科、工学系研究科精密工学専攻へと進学しました。教養学部での二年間に加え、研究室が先端研にあったことから、学部四年から博士二年までの五年間(博士三年の時に研究室が柏に移転しました)と、総合文化研究科での二年間のポスドク生活を合わせ、九年間を駒場で過ごしました。今年で駒場での生活は、通算十年目となります。馴染み深い場所で、これからも研究を続けられることに感謝しております。これまでに過ごした駒場、本郷、柏という三つのキャンパスは、どこも甲乙つけがたい魅力がありますが、駒場キャンパスは緑が豊かで、木々に囲まれた道を歩くと自然の癒しを感じます。

 これまでを振り返ると、まず大学一、二年生の時に、駒場の教養学部で必修の授業と選択制の授業を通して、様々な分野に触れることができたのは、貴重な体験でした。必修だった身体運動の授業に関しては、それまでの「私は運動が苦手な人間だ」という思い込みが大きく変わる転機となりました。授業の内容は筋力トレーニングだったのですが、他人と競うのではなくて、自分の体に意識を向けるという点が新鮮で、実践するうちに体を動かすことが楽しくなりました。授業の後の数年間は、運動から遠ざかってしまったのですが、一年生の時にウェイトを使ってトレーニングしていたという経験は、後に運動を再開する時のモチベーションとなりました。

 進学先に関しては、駒場にいる間にたくさん迷いました。最終的には、体を自由に動かせなくなる難病を患った人が身近にいたことから、そのような人を支援する技術を作りたいと考えて、神経工学を学ぶことに決めました。学生時代は、身体を動かさずに、脳活動の信号を用いて外部の機器を操作するブレイン・コンピュータ・インターフェースの研究に取り組みました。現在は、運動失調のためのリハビリテーション技術を開発することに取り組んでいます。

 私の授業では、一、二年生向けに身体運動の実技を行います。授業を通して、安全かつ効果的に運動を実践しつつ、少しでも運動の楽しさや、運動がもたらす健康への良い影響を伝えることに努めてまいります。研究では引き続き、運動機能が低下した人や、身体を動かせなくなった人の生活の支援技術とリハビリテーション技術の開発に取り組むことで、有効な治療薬が開発されていない疾患の治療に貢献していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

(生命環境科学/スポーツ・身体運動)

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