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研究科長・学部長挨拶

研究科長・学部長の交代にあたって

大学院総合文化研究科長・教養学部長(2003年2月-2005年2月)
浅島 誠(あさしま まこと)

浅島 誠大学院総合文化研究科長・教養学部長が2003年2月16日に古田元夫前学部長から浅島誠に交代しました。古田元夫前学部長の2年間は、 駒場の大きな変革の時でした。その一つは、長い間、懸案となっていた旧駒場学寮の問題が決着し、建物の取り壊しが完了したことです。 大学と学生の話し合いは約10年に及び、 大学としても多大なエネルギーと時間を費やしましたが、 この問題が大きな混乱もなく解決されたのは誠に喜ばしいことでした。また、 その地域の南側にある旧第一研究室跡地に建設されていた新しい図書館が完成し、 2002年10月3日に遠山文部科学大臣や蓮實前東大総長をお迎えして竣工式が挙行されました。 これとあわせて、文系教官にとって長年の悲願であった文理融合棟 (総合研究棟) の建設着工などが進められました。

また、新学習指導要領で学習した新入生を迎え入れる2006年度に向けた前期課程の科類やカリキュラムの見直し、 進学振分け制度改革の検討が 全学的な規模で活発に進められました。このように、 2004年4月に予定されている国立大学法人への移行とちょうど軌を一にして、駒場は大きな変革期を迎えています。 古田前学部長の偉大な貢献による駒場の整備が進みつつある中で、 研究科長・学部長という重責が私に引き継がれたのです。

私に与えられた第一の責務は、7,000人余りを対象とする前期課程教育を新しい時代のニーズにふさわしい内容に拡充し、 専門課程諸学部との協力体制を 一層強化しつつ円滑に運用される仕組みを提案し、実行することにあると思います。 教養教育を行う前期課程と専門教育を行う後期課程の相互補完によって、 教養教育の掲げるリベラル・アーツの理念と質を更に高めていきたいと思います。

第二は、来年4月に予定されている国立大学法人化への積極的な対応です。 これが国立大学にとって非常に大きな制度改革となることは確実ですので、 大学における学問・教育の自由と自律・責任が明確になるように十分な準備と検討を行いたいと考えます。 学部内に検討委員会を新たに設置して、今年の秋から 法人化に向けた試行を実施し、問題点を一つひとつ点検しつつ確実に解決し、 将来の発展への基礎を固めたいと思います。

第三は、学内環境の整備です。現在進んでいる情報教育棟の拡充、学術交流棟、 文理融合棟 (総合研究棟)の新営などの建設に加えて、図書館II期棟の建設、 教室棟や教室設備の大幅な整備、さらに、国際学術交流施設、 コミュニケーション・プラザの新営、学内保育所の整備などを 重点的に推進していきたいと考えます。また、駒場Iキャンパスが質の高い 教育・研究にふさわしい静寂と文化の香りに包まれた豊かな空間となるように、 一二郎池や坂下門周辺の緑の保全、矢内原公園の整備も行いたいと思っています。

第四は、教員・職員と学生の人間の和と、相互の信頼関係に基づくアカデミック・ヒューマニティの構築です。 国立大学の法人化が行われると、 教職員の事務や雑務の負担が増え、本業である教育や研究に割く時間が減少するおそれがあると言われています。 しかし、大学本来の豊かさは、時間や空間、 文化の豊かさです。 前期課程から大学院にまで至る三層にわたって学生一人ひとりを大切にし、互いの信頼関係を基礎として、 次世代の人間的な成長と創造を促す使命が おろそかになってはなりません。この改革の期にこそ、大学院総合文化研究科・教養学部は、 本来の使命に立ち返って、人と人の和、大学というコミュニティの 形成に努めていくことが最も重要な課題であると痛切に感じています。

大学に課せられた使命は21世紀に入っていよいよ重要なものになりつつあります。 大学院総合文化研究科・教養学部は日本でも最大の教育の現場です。 次世代の人材育成、将来の学問や大学の在り方をこの駒場の地から切り開くという使命を十分に自覚しつつ、 着実な発展を図りたいと希望しています。 今後とも皆様の御協力と御指導をよろしくお願いいたします。

 

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