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2019.04.16
【受賞】野口篤史准教授、横川大輔准教授が平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞
総合文化研究科所属の下記2名の教員が、平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞しました。
受賞者氏名 | 受賞名 | 業績名 |
野口篤史 准教授 |
科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞 |
ハイブリッド量子系における量子極限操作の研究 |
横川大輔 准教授 |
科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞 |
溶液内化学現象の微視的理解を目指した理論開発と応用研究 |
関連URL
文部科学省プレスリリース:http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/04/1415044.htm
受賞した二名の業績内容は以下のとおりです。
野口篤史 准教授
業績名 「ハイブリッド量子系における量子極限操作の研究」
野口准教授は、異なる量子系を互いに結合させるハイブリッド量子系の研究を行い、量子的な操作や観測技術の開発を行いました。近年、いくつかの量子系では、個々の量子操作は高い精度で行われるようになってきました。一方で、そのままでは制御の難しい物理系を、制御性の高い量子系と組み合わせたハイブリッド量子系の研究が、応用・基礎科学的な両面より注目を浴びています。
野口准教授は、単一核スピンと光共振器、イオンの振動状態とスピン状態、超伝導量子ビットと音波、という3種類のハイブリッド量子系を実現し、それぞれの系において量子極限における操作や観測を行いました。様々なハイブリッド量子系の可能性がある中で、いかにして量子系の散逸を抑制しつつ、複合系に強い相互作用を実現するかという点に着目し、究極的な制御を行いました。
本研究成果は、量子センサーや量子情報処理デバイスといった、将来の量子技術の根幹を担う技術に発展すると期待されます。
横川大輔 准教授
業績名 「溶液内化学現象の微視的理解を目指した理論開発と応用研究」
横川准教授は溶液内化学現象の微視的理解を目指し、量子化学と統計力学を組み合わせた新しいハイブリッド理論を構築しました。溶液内化学現象を、理論に基づき原子・電子レベルで明らかにすることは、現象の解明のみならず、創薬、材料開発においても極めて有用です。しかしながら、検討すべき分子数が膨大な数になるため、実験事実を説明するに足るだけの計算精度を備えたものは極めて限られていました。
横川准教授は、量子・古典両方の性質を併せ持つ分子間ポテンシャルを独自に開発し、これを利用した新たな量子・古典ハイブリッド理論を構築することに成功しました。これにより、従来法では実現できなかった計算精度で溶液内の量子化学計算を行うことを可能にしました。
本研究成果は、溶液内化学現象の基礎的な理解に貢献するだけでなく、新しい薬、材料の設計などにも大いに役立つと期待されます。
主要論文:
「Toward Accurate Solvation Free Energy Calculation with the Reference Interaction Site Model Self-Consistent Field: Introduction of a New Bridge Function」J. Chem. Theory Comput.、14、p3272~3278、2018年5月発表
「New generation of the reference interaction site model self-consistent field method: Introduction of spatial electron density distribution to the solvation theory」J. Chem. Phys.、126、244505(p1~6)、2007年6月発表