第27回 地域文化研究専攻主催 公開シンポ ジウム <身体>からみる地域 ─医療・衛生・宗教実践 ─
地域文化研究専攻では、全世界の各地域と前近代と近代、そして人文学から社会科学に跨る幅広い専門領域をカバーするスタッフを活かし、横断的・越境的なテーマを取り上げてシンポジウムを開催してきました。今年度は<身体>をキーワードとしてとりあげ、異なる地域と時代を専門とする三人の歴史学者の報告で構成したいと思います。
人間の<身体>そのものは、時代を通じて大きく変化するわけではなく、また民族間・地域間の差異も相対的には小さなものです。しかし、その<身体>がある時代の文化の中で果たす役割や、<身体>に託された意味には、はるかに大きなバリエーションがあります。例えばスペイン植民統治下の南米アンデス先住民、18世紀フランス・パリの民衆層、あるいは近現代インドのジャイナ教徒において、人々の<身体>とはいったいどのような場であり、いかなる問題を投げかけているのでしょうか。このシンポジウムでは、<身体>に深く関わる医療や衛生、宗教実践などの角度から、植民地権力と在地社会、伝統医学と近代医学、慣習と法、などの諸要素が人間の<身体>を拠点としてせめぎあうのみならず、時として相互に浸透し合ってきた複雑な様相が、豊富な事例とともに描き出されることになります。
本シンポジウムはとりわけ、この専攻で学んでいる院生のみなさん、これから学びたいと考えているみなさんにぜひご参加いただき、地域文化研究の可能性について一緒に考え、議論したいと思っています。ご来聴をお待ちしております。
報告1. 「植民地期アンデス先住民の心と身体─偶像崇拝根絶巡察を中心に」 網野徹哉(地域文化研究専攻)
報告2. 「18世紀前半パリのジャンセニスムと痙攣する身体─内科医エッケの檄文にみる医学と病気治し」 長谷川まゆ帆(地域文化研究専攻)
報告3. 「近現代インドにおける身体・宗教・法─断食死をめぐる論争」 井坂理穂(地域文化研究専攻)
コメンテーター 杉田英明(地域文化研究専攻) 福井祐生(地域文化研究専攻博士課程)
主催: 東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻
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