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2026.09.11
【研究成果】フィギュアスケートのジャンプで回転軸のぶれ・回転速度を決めるものは何か
2026年9月11日
東京大学大学院総合文化研究科
発表のポイント
- フィギュアスケートのジャンプにおいて回転軸のぶれと回転速度を決定する力学的要因を特定しました。これらは共通の要因による影響も受けるものの、最も影響の大きい要因は異なっていました。
- 回転軸のぶれと回転速度を力学に基づいて数式で表しました。さらに、実際のデータを使用して、式に含まれるどの要因の影響が最も大きいかを特定しました。
- この成果は、回転軸のぶれを抑えつつ回転速度を大きくするための具体的な動作を調べる上での基盤となり、将来的に実際の練習に応用されることが期待されます。
発表内容
東京大学大学院総合文化研究科の吉岡伸輔准教授と大学院生(博士課程)の増田実姫さんは、フィギュアスケートのジャンプにおいて回転軸のぶれと回転速度を決定する力学的要因を明らかにしました。フィギュアスケートのジャンプを成功させるには、安定した回転軸と十分な回転速度が必要であると考えられます。これまでの研究では、ジャンプに関連するさまざまな力学的変数が測定されてきましたが、それらが回転軸のぶれや回転速度とどのように関係しているか、どの変数が大きな影響を及ぼしているかは十分に明らかになっていませんでした。
本研究では、力学に基づいて回転軸のぶれと回転速度を数式で表し、これらを決定する要因を特定しました。さらに、氷上の実際のジャンプ動作の公開データを使用し、どの要因が最も大きな影響を及ぼしているかを調査しました。
その結果、回転軸のぶれや回転速度は、角運動量ベクトル(注1)の大きさや主慣性モーメント(注2)、角運動量ベクトルと慣性主軸(注3)の向きのずれといった量によって決定されることが明らかとなりました。その中でも、回転軸のぶれは角運動量ベクトルと慣性主軸の向きのずれによる影響、回転速度は主慣性モーメントによる影響が大きいことが分かりました。これらのことから、回転軸のぶれを小さくするにはスケート靴が氷から離れるまでの回転のかけ方が重要であり、回転速度を大きくするには腕や脚を身体の身長方向の軸に引き寄せることが重要であると考えられます。このように、回転軸のぶれと回転速度は、それぞれ別の力学的要因の影響を大きく受けていました。そのため、安定した回転軸と十分な回転速度の両方を実現するためには、それぞれに別の制御が必要であると考えられます。
本研究では、フィギュアスケートのジャンプの力学的な仕組みの一端が明らかになりました。この成果は、回転軸のぶれを抑えつつ回転速度を大きくするためにどのような動作が必要かを調べる上での基盤となることが期待されます。将来的には、実際の練習に応用されることも期待されます。
発表者・研究者等情報
東京大学
大学院総合文化研究科
吉岡 伸輔 准教授
増田 実姫 大学院生(博士課程)/日本学術振興会特別研究員DC1
論文情報
雑誌名:Journal of Biomechanics
題名:Mechanical determinants of axis drift and rotational speed in figure skating jumps
著者名:Miki Masuda, Shinsuke Yoshioka
DOI:10.1016/j.jbiomech.2026.113538
Open Access: CC BY 4.0
研究助成
本研究は、JSPS特別研究員奨励費(課題番号:JP26KJ1050)の支援により実施されました。
用語解説
(注1)角運動量ベクトル
回転の勢いを表す量。向きと大きさを持つベクトルとして表される。物体を回転させるはたらきであるトルクが作用することによって変化する。
(注2)主慣性モーメント
物体を慣性主軸(注3)まわりに回転させるときの抵抗の大きさ。大きいほど、同じ回転の勢いを持つときの回転速度が小さくなる。
(注3)慣性主軸
形の変わらない物体に対して、その物体がぶれることなく回転できる軸。

