教養学部報
第671号 ![]()
コマメシ6.0
田村 隆
この一年は駒場界隈に新しい店が次々とでき、今回も可能なかぎり情報を更新した。営業日と時間の確認をお願いしたい。
まずは王道の「学食」、生協食堂から。東大生協は今年創立八十周年を迎える。一階「Cafeteria若葉」(一食)と二階「Dining銀杏」(二食)。私も普段の昼はほぼこのどちらかで、『逆評定』にも目撃情報を書かれたことがあるが、二限が終わると一気に混雑する。対策として今年の正月明けから立席が設けられた。二階の玄米オムライス、一階の冷やし担々麺を薦めたい。昨春、二階に石焼ビビンバが登場し、熱々のおこげ付きで人気となっている。私を含め七人連続ビビンバの列という日があった。タコライス風の駒場丼も久しぶりに復活。二〇一八年には『東京大学駒場キャンパス一食全メニュー総覧』という同人誌が編まれ、翌年二食の情報も追加された。食堂の隣にはイタトマ系列の「Caffé VIGORE」(カッフェ ヴィゴーレ)があり、21KOMCEE West地下の「KOMOREBI」では二種のオリジナルブレンドコーヒーをテイクアウトできる。銀杏並木東端のキッチンカーは曜日によってメニューが異なる。十二月には百五十周年記念事業としてチキンガーリック丼が百五十円(学生限定)で提供された。
「杯を上げよ」という意味のフランス語が店名の「Lever son Verre」(ルヴェソンヴェール)のランチは、日替わりの肉料理・魚料理もしくは南仏野菜のトマト煮(Table For Two)から選び、パン・サラダビュッフェと食後のコーヒーもしくは紅茶が付いて千七百円(本学学生・教職員は割引あり)。東大駒場友の会の会員には飲み物のお替わりをサービス。二階の店名「橄欖」(かんらん)はオリーブの訳語。教養学部前身の旧制一高の校章はオリーブと柏葉だった。ちなみにその一高の食堂では「トンパン」(豚飯)なる炊き込みごはんが一番人気だったらしい(『向陵誌』)。一高出身の大野晋『日本語と私』にも「トンパン」が登場する。
三昧堂の前を通って西門を出る。駒場Ⅱキャンパスの時計台横の生協食堂はかつて国産旅客機YS─11の設計室だったという歴史的建物。堀越二郎達も出入りしていたのだろう。オーガニックレストラン「ape cucina naturale」(アーペ。学内向けメニューあり)や隣の「Bio Café ape」、キッチンカー「駒場東大RCAST村」のほか、「食堂コマニ」には山利の釜揚げしらす、唐揚げ、鯖、豚汁など食材にこだわった各種定食が揃い、「アド街ック天国」でも紹介された。鹿肉のメンチカツなど、各地の名物を使ったメニューが出ることもある。正門隣の「BAKER Aoyagi」の多彩なパンは本郷の学生にもファンがいる模様。向かい側には日替わり定食のある喫茶店「林檎の樹」と、つきたての餅とおこわを持ち帰れる「オオノ餅店」。駒場公園の奥にある日本近代文学館内の「BUNDAN」は本に囲まれたカフェで、メニューには文豪の名が付く。コーヒーのモカは「寺山TERAYAMA」。由来は教科書でお馴染みのあの短歌のはず。
次に駅西口側へ。坂下門の愛称蕎麦屋門は閉店した蕎麦処「満留賀」(まるか)によるが、その跡に人気のベーカリー「Le Ressort」(ル・ルソール)がある。建物の二階は、お好み焼きともんじゃ焼きの「楓」。マクドナルド跡地には十一月に「Café@バル 駒場Switch」がオープンした。三階にあり、ナポリタンを食べながら、井の頭線のホーム越しにキャンパスの桜やプラタナスが眺められる。
角に新しくできたコーヒースタンド「TSUKIKAGE COFFEE」、半地下にあるカレーの「LUCY」、一つ南側の通りでは大きなチキンカツの「Oaks」(弁当あり)、苗場ビル二階の新店「Lungo」(ルンゴ)のランチはジェノベーゼなどの「本日のパスタ」もしくはフォカッチャサンドほか。その隣は鯛焼きの「雅にぃ」。マップから少し離れるが、杏入りが珍しい「松見坂たいやき」も併せて紹介しておこう。「フラワーショップ殿山園」は昨年末に閉店した。
駒場小学校側の坂の途中にある喫茶店の「DORA」では、各所に並んだ市松人形の視線を感じながらのコーヒーと読書もよいし、ポークジンジャーなどのランチもある。「COLORADO」はドトール系列でモーニングあり。坂の上には「うつわとカフェLim.」。
駅西口に戻って今度は淡島通りに出る坂を上ってゆくと、右手にあるのがラーメンの「麺酒論嚆矢」や少し先の「GRATBROWN Roast and Bake」。本格的なコーヒーが味わえる。「Una pesca bianca」(ペスカビアンカ)は生牡蠣が名物。淡島通りの「福島屋」のカレー南蛮はとろみが強めで温まる。菓子処「さか昭」の桜餅(長命寺)は、西日本出身の新入生は驚くかもしれない。「成寿司」は比較的手頃で美味しく、近くの「アンサンブル」は地下の音楽喫茶室。タイ料理が食べたいときは、「ORIENTAL DELI」へ。出前で知った「巴屋」のカツカレーはいかにも蕎麦処らしい和風カレー。「えびすや」のカキフライは店の看板に添えられた「美味しいものはここにある」の宣言通り。「飛竜頭」とは何かここのメニューで知る人もいるのでは。白馬のごとく白い外観の「SUHO」(スーホ)のシュークリームや、「LITTLE TOY BOX」のさくらチーズケーキも。
一方、東の梅林門を出て階段を下りると東大前商店街へ。「菱田屋」はテレビや雑誌でも取り上げられる人気店で行列必至。『菱田屋の男メシ!』(二〇一七年)というレシピ本まである。近くには姉妹店「菱田屋酒場」(お酒は二十歳になってから)。お洒落でユニークな日替わりランチのある「888」は「みつばち」と読む。「キッチン南海」の黒いカツカレーも名物。昨夏、セミナーで出かけた信州松本でも「南海」(松本店)を見つけた。ネパールカレーの「MUSKAN」、近くの「PIZZA BAR KAKO」では手作りのマルゲリータや、ニンニクと赤唐辛子のスープパスタを(ワンドリンク制)。「角屋」のサバサンドは柴漬入りで和洋折衷の好例。「TOKYO PASTA WORKS」ではその「角屋」の店員さんお墨付きの生パスタを。一九四九年創業(教養学部と同い年)という「太田屋」は、精肉店の弁当だけあって、ミートボールと揚げたての唐揚げが人気。クリスマスにはグリルチキンも。韓国料理の「박식당」(パクシクタン)はサムギョプサル丼などのテイクアウトもできる。スイーツは、ティラミス専門店の「Tiramisu Home Made」と、隣の「MAATle」のスコーンを薦めたい。
体育館側の裏門を出た界隈では、蕎麦の「絆」は天ぷらとごはんの付いたランチメニューがお得。「山手」は、ゆきラーメンが名物。隣には弁当の「たけ」がある。ラザニアなど、「Letterpress Letters Canteen」の日替わりランチはInstagramで確認。
野球場の土手の桜並木を通って北門を出る。三田用水の暗渠にほぼ沿ったコスモス(航研)通りを左に少し歩くと山小屋風の「フレッシュネスバーガー」一号店が見える。隣の「COSMOS JUICE TOMIGAYA」ではコールドプレスジュースを提供。さらに進むと、生ハムとチーズなどイタリア食材の「PIATTI」(ピアッティ)や二郎系ラーメンの「千里眼」がある。夏季限定の冷やし中華も人気。向かい側のビル四階「俊樹」(しゅんじゅ)では和洋のランチを。逆に門から右方向に歩けば、生マッシュルームを使ったサンドイッチなどの「BONDI」(ボンダイ)。その先の「THE COFFEESHOP ROAST WORKS」のコーヒーは定評があり、前述の「KOMOREBI」のコーヒーもここの監修と聞く。門に戻り、通りを渡ってすぐのところにはアコウダイなどの焼魚定食がお薦めの「うしお」、そのまま進むとフレンチの「Chambre Avec Vue」(シャンブル・アヴェク・ヴュ)がある。向かい側には「富谷商店」。店頭の彩り豊かな弁当・コッペパンのほか、ケータリングもお願いできる。角を右に曲がるとハヤシライスなどの「粋」(すい)。「岬屋」の黒飴、夏の水羊羹と秋の栗蒸羊羹(竹栗蒸)も名品。渋谷富ヶ谷二郵便局隣の「斉藤米店」では葉唐辛子などのおにぎりを買える。「とみがや食堂」は「お惣菜食堂」を名乗り、数品のおかずをワンプレートでいただける。少し先の「むぎ」では豊洲の美味しい魚を楽しめる。メニューは日替わりだが、冬にナメタガレイの煮つけがあったら是非召し上がれ。
産地としては「タナメシ」だが、田無の農学生命科学研究科附属生態調和農学機構の農場で採れた桃や柿、キウイやシャインマスカットが年に数度、昼休みにコミプラ前で販売される。ちなみに、一高と敷地を交換した一九三五年まで、農学部は駒場にあった。
(超域文化科学/国文・漢文学)
(※店舗情報は2026年2月末時点でのものです。営業日、時間等をご確認ください。)
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