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2012.04.18
澤井哲准教授(大学院総合文化研究科広域科学専攻)が平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰(若手科学者賞)を受賞しました。
業績名 「細胞集団の自己組織化についての研究」
本賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者を表彰するものです。
澤井准教授は、細胞の集団の振る舞いについて、細胞性粘菌を題材に精密で定量的な測定からそのルールを明らかにし、集団での振る舞いの始まり方、さらには集団の示す時空間パターンについて遺伝学的な手法と、細胞の可視化技術、さらにデータに基づいた理論を数理モデル解析から検証することで解明しました。一般に、集団を構成する要素が従うルールが比較的単純であっても、そこに強い非線形性があり、系が平衡から遠い場合は集団レベルに時空間的に秩序だった動態が生成されます。分子から人間の社会にいたるまで、自己組織的な秩序形成は多く見られものの、要素レベルのルールとマクロレベルに出現する振る舞いを厳密に関係づけることは、系の複雑さからほとんどの場合困難でした。本研究成果は、複雑な生命現象の背後にある基本原理とその起源の解明につながるものと期待されます。
授賞式は本年4月17日、文部科学省で行なわれ、メダルと表彰状を受け取りました。
主要論文:
「細胞性粘菌のらせん波パターン生成に関する研究」Nature誌、433巻p323~326、2005年1月発表
「細胞性粘菌の集団的振動の出現機構に関する研究」Science誌、328巻p.1021~1025、2010年5月発表
文部科学省のプレスリリースは
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/04/1319413.htm